Power BIでファイルを取り込むとき、「OneDriveで同期したローカルフォルダー」を参照してレポートを作るケースがあります。手元のPCでは動くのに、Power BIサービスで更新が失敗したり、ある日突然パスが変わって読み込めなくなったりして、運用が不安定になりがちです。
そこで本記事では、power bi sharepoint folder 接続を前提に、SharePoint上のフォルダーへ直接接続し、OneDrive同期より安定させるための設計・作り方・運用のポイントをまとめます。専門用語は必要最小限にして、現場で迷いがちなところを中心に解説します。
1. OneDrive同期経由が不安定になりやすい理由
OneDrive同期は便利ですが、BIの定期更新という用途では「変わりやすい要素」が増えます。代表的な不安定要因は次のとおりです。
・ローカルPC依存になる
「フォルダー」コネクタでPC内のパスを読んでいると、Power BIサービス(クラウド)からはそのPCが見えません。オンプレ用にゲートウェイを使う手もありますが、PCの電源、スリープ、ネットワーク、ユーザーのログオン状態などに左右されます。
・同期遅延や競合が起きる
ファイルを上書き保存した直後、同期が完了する前に更新が走ると、古い内容を読んだり、競合ファイル(同名の別ファイル)ができたりします。
・パスや名前が意外と変わる
組織名変更、OneDriveクライアントの仕様変更、ユーザーのプロファイル移行などで、ローカルの同期パスが変わることがあります。Power Query側の参照先も一緒に壊れます。
・個人アカウントに紐づきやすい
退職・異動・ライセンス変更でOneDriveの所有者が変わると、リンク切れや権限不足が起きやすくなります。
結論として、定期更新で安定させたいなら「同期したフォルダー」より「SharePoint上のファイルを直接読む」方が有利です。
2. 基本方針:SharePoint上のフォルダーを直接参照する
Power BI(Power Query)にはSharePoint向けの入口が複数あります。安定運用の観点では、まず次の方針を押さえます。
・ローカルパスではなく、SharePointのサイト/ドキュメントライブラリをデータソースにする
・接続は可能な限り「組織のチームサイト(SharePoint)」に寄せ、個人のOneDriveに寄せない
・取り込み対象のファイル置き場は「BI専用」に分けて、運用ルールを固定する
特に重要なのが「置き場を分ける」ことです。SharePointには業務ファイルが大量に置かれがちで、Power BIが全ファイル一覧を取りに行くと遅くなったり、余計なファイル変更の影響を受けたりします。BI専用のドキュメントライブラリ、または専用フォルダーを作り、取り込み対象だけを置くのが基本です。
3. 接続設計:まず“変わらないもの”を決める
安定させるコツは、最初に「変えない前提」を決めて、そこから逆算して設計することです。
3-1. サイトの場所を固定する
・可能ならサイト名(URLの一部)を頻繁に変えない
・サイト移転や統合の予定があるなら、BI用サイトを早めに用意し、そこを長期の置き場にする
3-2. ドキュメントライブラリを固定する
・一般的な「ドキュメント」ライブラリに混ぜるより、BI専用ライブラリを作る
・権限もライブラリ単位で設計しやすくなる
3-3. フォルダー構造を固定する
深い階層や、頻繁なフォルダー名変更はトラブルの元です。おすすめは次のような単純な構造です。
・raw(受け取りそのままのファイル)
・master(マスタやコード表)
・work(加工途中や検証用)
・archive(過去分)
フォルダー名は英数字+短い単語で揃えると、後々の移行や連携でも困りにくくなります。
3-4. ファイル命名を固定する
更新が止まる典型例は「ファイル名が変わった」「拡張子が変わった」です。
・日次や月次のファイルは命名規則を決める(例:sales_YYYYMM.csv のように)
・手作業でのリネームを避け、ルールに沿って追加していく
・「最新版.xlsx」など固定名運用をする場合は、上書きの手順もルール化する(後述)
4. Power Queryの作り方:重くしない、壊れにくくする
SharePointフォルダー接続での失敗は「設計」だけでなく「クエリの書き方」でも起きます。特に重要なのは、取り込み対象を早い段階で絞ることです。
4-1. 早い段階で絞り込む
SharePointフォルダー接続は、まず候補となるファイルの一覧を取得します。対象が多いと、それだけで時間がかかります。
・フォルダーのパスで絞る
・拡張子で絞る(csv、xlsxなど)
・不要な列は早めに落とす(ファイルサイズや更新日時だけ残す、など)
4-2. 複数ファイル結合は型のブレ対策が必須
複数ファイルを結合するパターンは便利ですが、1つでも列名が違う、空行が入る、シート名が違う、というだけで更新が落ちます。
・入力ファイルのフォーマットを固定する(列名、順序、型、区切り文字、エンコード)
・Excelなら、テーブル化してテーブル名を固定する(シート名より安定)
・CSVなら、列数とヘッダーを固定し、余計な注釈行を入れない
4-3. 変換処理を安定させる
「ファイルの結合」機能で自動生成される変換処理は便利ですが、サンプルファイル依存が強いことがあります。
・サンプルが差し替わっても壊れないよう、必要最小限の変換にする
・列の追加/削除が起きる可能性があるなら、固定列だけに絞って参照する
・1ファイルの不備で全体が落ちないよう、エラーを握りつぶすのではなく、スキップや例外処理で“落ち方”を制御する
4-4. 取り込み工程を分ける
一つの巨大クエリで全部やるより、役割で分けると保守しやすくなります。
・取得(SharePointからファイル一覧と中身を取る)
・整形(個別ファイルの変換)
・結合(必要なデータだけ統合)
・モデル(テーブル関係とメジャー)
「どこで壊れたか」が分かりやすくなるだけで、復旧が速くなります。
5. 認証と権限:個人依存を外すと安定する
SharePointに直接つなげても、運用が不安定なままのケースがあります。その多くは「誰の権限で更新しているか」が原因です。
5-1. 更新用のアカウントを決める
個人アカウントでデータセットを公開し、個人の資格情報で更新していると、パスワード変更、二要素認証の設定変更、退職・異動などで更新が止まりやすくなります。
おすすめは次のどちらかです。
・運用用(共有)のアカウントを用意し、必要最小限の権限だけ与える
・もしくは、組織の方針に沿ってサービス用の認証方式を検討する(管理者設定が必要になることが多い)
5-2. 権限はフォルダー/ライブラリ単位で管理する
取り込み対象が散らばっていると、権限が複雑になり更新が落ちやすくなります。
・BI専用ライブラリにまとめる
・更新用アカウントはそこにだけアクセス可能にする
これだけで、権限変更の影響範囲が限定されます。
5-3. セキュリティポリシー変更の影響を把握する
組織のセキュリティ強化で、クラウドサービスからのアクセスが追加制限されると、突然更新が失敗することがあります。
・更新が止まったタイミングで、ポリシー変更がなかったか確認する
・運用アカウントのサインイン条件が更新ジョブと両立するか、管理者と握る
技術だけでなく、運用ルールとして「変更があったらBI担当へ連絡」を決めておくと復旧が早いです。
6. 更新を止めないファイル運用:上書きより“安全な置き換え”
OneDrive同期より安定させたいのに、更新が失敗する原因として多いのが「更新中にファイルが書き換わる」パターンです。
6-1. 上書き運用の落とし穴
固定名(例:latest.csv)を上書きしていると、更新が走った瞬間にファイルが編集・保存中で、読み込みが失敗することがあります。また、書き込み途中の中途半端な状態を読み込むリスクもあります。
6-2. 安全な置き換え手順の例
・手順A:新しいファイルを別名でアップロードし、確認できたら最後にリネームして固定名にする
・手順B:日付入りファイルを追加していき、Power BI側は“最新日付”を自動判定して読む
手順Bの方が事故が少なく、監査もしやすいです。
6-3. 版管理やチェックアウトの扱い
SharePointの版管理やチェックアウトを使っている場合、ファイルが確定していない状態になることがあります。
・取り込み対象ライブラリでは、チェックアウトを使わない運用にする
・版管理は有効でもよいが、更新対象ファイルは確定状態で置く
担当者が変わっても崩れないよう、ルールとして明文化しておくのが効果的です。
7. パフォーマンス対策:フォルダー接続は“スリム化”が効く
SharePointフォルダー接続で遅い・タイムアウトする場合、まず疑うべきは「候補ファイルが多すぎる」ことです。
7-1. ファイル数を減らす
・BI専用ライブラリに限定する
・過去データはarchiveへ移し、Power BIが見るフォルダーから外す
・不要な中間ファイル(Excelの一時ファイルなど)を置かない
7-2. 取得列を減らす
ファイル一覧には多くのメタデータ列があります。必要な列だけ残すと、後工程が軽くなります。
7-3. 取り込み範囲を分ける
・毎回全期間を取り込むのではなく、月次や日次で分割して取り込む
・増分更新を意識した構造(期間別フォルダー、日付列の整備)にしておく
設計次第で、毎回全部取り直す状態を避けやすくなります。
8. よくある失敗とチェックリスト(更新が落ちたときの切り分け)
最後に、トラブル時の見落としを減らすためのチェック項目をまとめます。
A. 接続先の変更がないか
・サイト名、ライブラリ名、フォルダー名が変わっていないか
・ファイルが移動されていないか
B. 権限が変わっていないか
・更新用アカウントが対象フォルダーにアクセスできるか
・グループから外れていないか
・共有リンク頼みの運用になっていないか(無効化や期限で切れやすい)
C. ファイル形式が変わっていないか
・列名、列数、区切り文字、シート/テーブル名が変わっていないか
・ヘッダー行の位置が変わっていないか
・空行や注釈行が増えていないか
D. 更新タイミングの競合がないか
・更新時間帯にファイルを編集していないか
・上書きの手順が守られているか
E. 1ファイル不備で全体が落ちない工夫があるか
・スキップや例外処理で全体停止を防げているか
・失敗したファイル名が特定できる情報(ファイル名や更新日時など)を残しているか
9. まとめ:OneDriveより安定させる“コアの考え方”
power bi sharepoint folder 接続をOneDrive同期より安定させるポイントは、突き詰めると次の3つです。
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個人PC・個人アカウント依存を外す(SharePointへ直接、運用アカウントで更新)
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変わりやすい要素を減らす(専用ライブラリ、固定のフォルダー構造、命名規則)
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壊れやすい箇所を強くする(早い絞り込み、ファイル形式の固定、上書き事故の防止、例外対策)
SharePointに置いてあるから自動で安定するわけではなく、置き場・権限・ファイル運用・クエリ設計の4点セットで安定します。最初にルールを決めて、取り込み対象を“BI専用”として扱うだけでも、更新失敗の頻度は大きく下げられます。
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