近年、データに基づく意思決定のスピードが求められるようになり、外出先や移動中でもレポートを閲覧できる環境が重要になってきました。Microsoft Power BI には、スマホやタブレットなどのモバイル端末でダッシュボードを見やすくするためのモバイルレイアウト機能が用意されています。
「自宅や出張先でもKPIをチェックしたい」「現場担当がすぐにリアルタイムデータを確認できるようにしたい」――そんなニーズに応えるのが、Power BIのモバイルレイアウトです。本記事では、モバイルレイアウトの基本的な設定方法から、レイアウトを最適化するポイント、そしてモバイル活用の注意点まで、わかりやすく解説します。
1. Power BIモバイルレイアウトとは?
スマートフォン専用の表示最適化
Power BIモバイルレイアウトは、スマートフォン画面に特化 したレポート表示を実現するためのレイアウトモードです。通常のPower BIレポートはパソコンや大型ディスプレイ向けの配置になっているため、スマホで開くと文字が小さく表示しきれなかったり、操作しづらかったりします。
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モバイルレイアウトを用意することで、縦長のスマホ画面でも**「重要な指標が一目でわかる」** レイアウト設計が可能です。
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Power BI Service上で公開したレポートを、Power BIモバイルアプリ やモバイルブラウザから閲覧するときに適用されます。
デスクトップ版レイアウトとの違い
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画面サイズや解像度に合わせてコンテンツを配置する必要がある
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長いスクロールを想定したビジュアル配置が必要になる場合も
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指先でタップしやすいボタンやスライサーのデザインを心掛ける
2. モバイルレイアウトの基本的な作り方
2-1. レポート作成はPower BI Desktopから
まずは通常どおり、Power BI Desktop を使ってレポートを作成します。グラフや表、カードなどのビジュアルを配置し、完成したらPower BI Service(クラウド)にレポートを発行します。
2-2. Power BI Service上で「モバイルレイアウト」を編集
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Power BI Service にアクセスし、先ほど発行したレポートを開きます。
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画面右上の「…(省略記号)メニュー」から「電話レイアウトの編集」を選択。
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レポートで作成したビジュアルがツールボックスのような形で表示されるので、スマホの画面に見立てた縦長キャンバスにドラッグ&ドロップで配置します。
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必要に応じてサイズや配置を調整し、「保存」を行えば完了です。
2-3. モバイルアプリでの確認
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スマホにPower BIモバイルアプリ をインストール
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Power BIアカウントにログインし、対象のレポートを開く
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自動的に「モバイルレイアウト」で表示され、縦長画面に最適化されたビジュアルが確認できます。
3. モバイルレイアウトを最適化するポイント
3-1. 優先度の高い指標を上部に配置
スマホ画面は限られたスペースしかないため、重要なKPIや指標を上部(ファーストビュー) に配置するのが基本です。売上合計や案件数など、必ずチェックしたい情報をトップに持ってくることで、現場担当者や経営層が一目で最新状況を把握できるようになります。
3-2. シンプルなビジュアルを選択
画面が小さい分、複雑なグラフを詰め込みすぎると視認性が低下します。
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カードやゲージ、シンプルな棒グラフ など、ぱっと見で分かりやすいビジュアルを中心にする
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メインのビジュアルを大きく表示し、詳細はドリルダウンや別ページで補足する
3-3. スライサーやフィルターの配置にも配慮
モバイルでの操作は指先タップがメインなので、スライサーは指で押しやすい大きさ に調整しましょう。複数のフィルターを並べると操作しづらくなるので、必要最小限に絞っておくこともポイントです。
3-4. ビジュアル間の余白を確保
小さな画面に複数のビジュアルを配置すると、誤タップを誘発しやすくなります。適度な余白をとり、タップしやすいデザインにしましょう。また、ビジュアル同士を重ねない ように気を付けます。
4. モバイルレイアウトの注意点
4-1. デスクトップ版と同じビジュアルを使う
Power BIのモバイルレイアウトは、あくまでレポートで使っているビジュアルを再配置する機能 です。レポートで作成していないビジュアルを新たに追加することはできません。
→ 先にPower BI Desktopで必要なビジュアルを配置しておき、後からモバイル用に並べ替えるイメージです。
4-2. ページ数が多い場合の操作性
レポートページを多く作りすぎると、スマホ上では切り替え操作が煩雑になります。
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1ページ1テーマ を意識し、まとめたい情報を整理しておく
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長いページを1つ作るよりも、2~3ページに分けて読み込みを分散したほうが動作が軽くなる場合もあります。
4-3. 最新データの反映タイミング
モバイルレイアウト自体は見え方の設定で、データの更新頻度はPower BI Service側の設定 に左右されます。必要に応じて、自動更新のスケジュールやDirectQueryモードの活用を検討してください。
5. モバイル活用のメリット
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外出先でも即時にデータ確認
営業先や出張先、移動中にスマホからダッシュボードをチェックできるため、タイムリーな意思決定が可能になります。 -
現場担当者の業務効率アップ
倉庫や店舗、工場のフロアにいるスタッフでも、最新の在庫数や生産状況をその場で確認。端末をわざわざPCにつなぐ手間が省けます。 -
経営層への報告がスムーズ
タイムリーな数値をスマホで確認できるので、緊急時の報告や対応がスピーディーに。経営会議への持ち込みも簡単です。
6. Power BI導入やモバイル対応でお悩みなら
「モバイルレイアウトを作ってみたいけど、全体的なレポート設計がまだ整っていない」「どうやってデータを整理すればいいのか分からない」といった方も多いのではないでしょうか。当社では、Power BI をはじめとするBIツールの導入・運用コンサルティングを多数手がけてきました。データモデリングからダッシュボード設計、そしてモバイル最適化まで含めて、トータルでサポートいたします。
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まとめ
Power BIモバイルレイアウトは、スマホでも快適にデータを閲覧・分析 できるようにするための重要な機能です。重要指標を素早く確認したり、外出先でのレポート閲覧を容易にしたりできるため、ビジネスのスピード感を大きく高める効果があります。
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まずはPower BI Desktopでレポートを作成し、Power BI Serviceに発行
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「電話レイアウトの編集」機能でビジュアルを縦長画面に最適化
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スマホアプリからアクセスすれば、移動中や出先でも最新のデータをチェック可能
これらを実践し、データドリブンな意思決定をさらに加速させてみましょう。もしレイアウトの作り込みや運用設計に不安を感じる場合は、ぜひ専門家のサポートを検討してみてください。以下のリンクからPower BIコンサルティングの無料相談をお申し込みいただけますので、お気軽にご連絡ください。
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