Excelが「便利」から「しんどい」に変わる瞬間
Excelは便利です。早いし、誰でも開けるし、ちょっとした集計や共有には強い。
ところが、業務が回り始めて「報告が定例化」し「集計が毎週・毎日に」なってくると、Excelの強みがそのまま弱みに変わります。
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ファイルが増え、どれが最新版かわからない
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手作業のコピー&貼り付けが増え、ミスが混じる
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集計ロジックが人に依存し、引き継ぎができない
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数字の定義が部署ごとに違い、会議で“正しい数字探し”が始まる
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作り直しが続き、改善が積み上がらない
この状態から脱却しようとすると、多くの組織は次の二択に悩みます。
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A. とにかくPower BIで見える化してしまう(データはExcelのまま)
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B. いきなりDWHや基幹DB整備など、しっかりした土台を作る(時間もお金もかかる)
ここにちょうど良い“間”の選択肢として入ってくるのが power bi datamart です。
「Excel運用をやめたい」は本音。でも「全社DWHの大工事」は今は無理。
そんなとき、前に進むための 中継地点 になってくれます。
1. 「Excel脱却」が難しい本当の理由
Excelが問題なのは、Excelそのものというより、Excelが**“データベースの代わり”**になってしまうことです。
入力・保管・加工・集計・配布までを1つのファイルで抱え込む状態になると、限界が来ます。
よくある症状はだいたい同じです。
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データの入口が多すぎる(各担当がそれぞれ作る)
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加工手順が見えない(マクロ、手計算、列追加、関数の連鎖)
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更新が止まる(担当者が休むと止まる)
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“正”が存在しない(同じKPIがファイルごとに違う)
ここで必要なのは、見た目のダッシュボードより先に
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データを置く場所
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数字の作り方(定義)
を安定させることです。
ただし、専用のDWHやETL基盤を最初から整えるのは、時間も調整もコストも重い。
そこで「Excelのままでもよいが、Excelの運用だけは終わらせる」という落としどころが必要になります。
power bi datamart はこの落としどころに刺さりやすい、というわけです。
2. “間”とは何の間か:選択肢を並べてみる
Excel運用から抜け出すとき、選択肢は大まかに4段階あります。
(1) Excel+Power BI(ファイル取り込みで可視化)
最短で始められます。
ただし、Excelが増え続ける問題や、ロジックの属人化は残りやすいです。
(2) power bi datamart(Power BI上にデータを寄せ、整理し、再利用)
データの置き場と整理の場をPower BI側に寄せやすい。
現場主導の改善にも向きます。
(3) データ基盤(DWH/データレイク/統合ETL)+Power BI
拡張性とガバナンスは強い一方、立ち上げに時間がかかりやすいです。
(4) 基幹刷新/全社アーキテクチャ再設計
理想だが長期戦。短期成果を出しづらい。
**power bi datamart が“間”**と言われるのは、
(1)の軽さと(3)の安定の ちょうど中間を狙える からです。
3. power bi datamart が効く「使いどころ」
ここが本題です。万能ではありません。
効く場面がはっきりしています。
3-1. 部署内の“データ寄せ”を早く安定させたいとき
営業部門で、案件・受注・売上・目標が別ファイルで管理され、
会議前に誰かが統合作業をしているケース。
このとき必要なのは「見栄え」より先に 統合の“型” です。
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取り込むデータ(Excel、CSV、業務システム出力など)を決める
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加工手順(列の整形、コード統一、欠損処理)を決める
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結合ルール(顧客ID、案件ID、日付)を決める
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指標の定義(計上基準、キャンセル扱い)を決める
power bi datamart は、この“型”を 一度作って繰り返し使える形 にしやすい。
毎週の「手作業の儀式」を、更新に寄せられることが価値です。
3-2. 「同じ数字のはずなのに合わない」を終わらせたいとき
会議でよく起きるのが、「営業の売上」と「経理の売上」が合わない問題です。
原因はだいたい 数字の定義が別々に存在する ことです。
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値引きを含む/含まない
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出荷基準/請求基準/入金基準
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締め日やタイムゾーン
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返品・キャンセルの扱い
datamart にデータと定義を寄せると、
「この数字はここでこう作っている」が共有しやすくなります。
全社統一までは行かなくても、まずは プロジェクト内で定義を固定 できます。
3-3. IT部門の開発待ちを減らしたいとき
「DBから抽出SQLを毎回依頼している」
「ビュー作成に数週間待つ」
こうした“待ち”がボトルネックのときにも効きやすいです。
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現場が自分たちでデータを揃えて分析したい
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ただし個人のExcelではなく 共有できる置き場 がほしい
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小さく始めて、価値が出たら基盤側へ寄せたい
この条件に当てはまるほど、power bi datamart の“間”の価値が出ます。
3-4. 「やり切る範囲」が見えているとき
Excel運用が長いほど、列も計算も増えてファイルが巨大になります。
だからこそ、最初から全部を完璧に整理しようとしないことが重要です。
スコープが切れるテーマが向きます。
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まずは「売上」「案件」「顧客」だけ
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まずは直近12か月だけ
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まずは主要拠点だけ
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まずは揉める指標トップ5だけ
“小さく作って、回して、直す”ができるテーマに強いです。
3-5. 使う人が増える見込みがあるとき
「作る人1人、見る人多数」になった瞬間、Excelの配布コストが跳ね上がります。
datamart 側に寄せると
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同じデータを複数レポートで使い回す
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同じ定義を複数チームで共有する
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更新のたびに配らなくても、見る側が同じ場所を見る
という形にしやすく、人数が増えるほど楽になります。
4. 逆に、power bi datamart を選ばないほうがいい場面
“間”は便利ですが、向かない場面もあります。
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超大容量データで、性能と拡張性が最優先
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ほぼリアルタイム更新が必要
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複雑な履歴管理や監査要件が中心
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Power BI以外にもデータ提供するのが主目的
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権限や運用ルールが非常に厳格で、DBA主導の統制が必須
こうした場合は、専用のデータ基盤を先に検討するほうが良いことが多いです。
5. 導入を成功させる進め方:Excel脱却の“段階設計”
power bi datamart を入れても、進め方がExcelの延長だと失敗します。
ポイントは Excelを捨てるのではなく、役割を変える ことです。
ステップ1:Excelを「入力」か「参照」どちらかに寄せる
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Excelが入力として必要なら、入力は残してOK
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ただし 集計・加工・正の保管はdatamartへ
ステップ2:指標の“定義表”を作り、増やしすぎない
最初は揉めやすい指標だけで十分です。
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売上
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粗利
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受注
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パイプライン
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達成率
「どの列からどう計算するか」を短く固定すると崩れにくいです。
ステップ3:モデルはシンプルに(詰め込みすぎない)
言い換えると、
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集計される数字の表
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分類に使う表(顧客、商品、日付など)
を分ける、ということです。後々の修正が楽になります。
ステップ4:更新頻度を現実に合わせる
毎日必要なのか、週次で足りるのか。
更新頻度を背伸びすると、運用負担が戻ってしまいます。
ステップ5:公開範囲を決めて、段階的に広げる
おすすめは
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部署内で安定
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関連部署へ展開
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全社共通指標だけ別枠で整備
スピードが強みなので、最初から重くしすぎないのがコツです。
6. よくある落とし穴と対策
落とし穴1:Excelの複雑さをそのまま移植する
対策:例外処理を「分類」して、後から整理できる形にする。
落とし穴2:指標が増えすぎて何を見ればいいか不明
対策:「この会議で何を決めるか」から逆算してKPIを絞る。
落とし穴3:不整合が見えて揉める
対策:「正しさ」より先に「差分の理由」を説明できる分類を用意する。
落とし穴4:運用担当が結局1人になる
対策:最低限の運用手順(更新、エラー対応、定義変更)を2人以上で扱える状態にする。
まとめ:Excelを卒業するための「現実的な一手」
Excel運用からの脱却は、ツールの入れ替えではなく、
数字の作り方と置き場所を変えることです。
power bi datamart は、
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手作業の統合を減らし、更新で回せる形に近づける
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指標の定義を固定し、同じ数字を同じ場所から出せるようにする
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部署やプロジェクト単位で小さく始め、成果を出しやすい
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価値が見えたら、より大きな基盤へ移行判断もしやすい
という意味で、“いきなり大工事はできない。でもExcel運用は終わらせたい”状況に刺さる “間”の選択肢 です。
「会議で揉める数字を減らす」「更新のたびに作り直さない」「同じ加工を使い回す」。
この3つが回り始めた時点で、Excel中心の働き方は確実に変わります。
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