SharePointに置いたExcelをそのまま集計や可視化に使えるようにすると、入力はExcelで手軽に、レポートはPower BIで安定運用できます。一方で、接続の仕方を間違えると更新が失敗したり、列名の変更ひとつでレポートが壊れたりします。ここでは power bi excel sharepoint 接続 を前提に、つまずきやすいポイントを避けながら、現場で回る形に落とし込む手順をまとめます。
1. 最初に押さえる全体像
SharePoint上のExcelをPower BIのデータソースにする流れは大きく3段階です。
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Excel側を「機械が読みやすい形」に整える(テーブル化、列の安定化、余計な装飾をやめる)
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Power BI DesktopでSharePointから取り込み、Power Queryで整形する(型、列名、不要行の除外)
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Power BI Serviceで更新できる形にして、運用ルールで崩れないようにする(権限、変更管理、障害時の切り分け)
特に重要なのは、見た目ではなく「データの構造」を固定することです。Excelは人が見やすい帳票を作れますが、Power BIはデータの並びや列名が一定であることを強く前提にします。
2. 接続方式の選び方(失敗しないおすすめ)
SharePoint上のExcelへの取り込みは、主に次の考え方で選ぶと安定します。
A. SharePointフォルダー接続(おすすめ)
Power BIの「SharePointフォルダー」コネクターを使い、対象のサイトを指定してから、目的のファイルを絞り込んで読み込みます。
メリット
注意点
B. 直接Excelブックを指定する(シンプルだが壊れやすいことがある)
単一ファイルだけを読むなら、Excelファイルを選んで取り込む方法もあります。ただし、共有リンク由来のアドレスや、ダウンロード用の一時的なアドレスを使うと、更新時に壊れやすくなります。運用で「ファイル名変更」「移動」をする可能性が少しでもあるなら、Aの方が無難です。
結論として、単一ファイルでも将来的に運用が乗るなら、まずはSharePointフォルダー接続で設計するのが安全です。
3. Excel側の準備:テーブル化が最重要
Power BIが安定して読み取れるExcelの条件は「表が表として定義されている」ことです。Excelの範囲をテーブルに変換してから取り込みます。
3-1. テーブル化の手順(入力担当でも迷わない)
テーブル名はあとから見返したときに分かるよう、用途が伝わる名前にします。Power BI側では「シート」より「テーブル」を選んで取り込むのが基本です。
3-2. テーブル化すると何が良いのか
3-3. Excelで避けるべきこと(更新失敗の原因)
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セル結合:Power BIは結合セルがあると見出しが崩れやすい
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途中に空行、空列:テーブル内での空行はデータ終端扱いになったり、変換でエラーを誘発する
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見出しが2段、3段:必ず1行の見出しにする
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同じ列に日付と文字が混在:型変換でエラーになりやすい
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「合計」行、「注釈」行:データと同じテーブルに入れない(別シートにする)
4. 列固定の考え方:レポートを壊さない「スキーマ運用」
ここでいう列固定は、Excelの表示で列を固定する話ではなく、データの列構造(スキーマ)を変えない運用のことです。Power BIは列名や列数が変わると、参照しているステップが失敗して更新が止まりやすくなります。
4-1. 列固定のルール(最低限)
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列名を変更しない(表記ゆれも禁止:例「顧客名」→「お客様名」など)
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列を削除しない(不要ならPower BI側で非表示にする)
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列の追加は原則「末尾に追加」(途中挿入は避ける)
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列の意味を変えない(同じ列に別の意味の値を入れない)
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主キー(ID列)を決め、空にしない(行の同一性の基準)
4-2. どうしても列を変更したいときの手順
運用で列追加・変更が必要になることはあります。重要なのは「事前にPower BI側が受け止められる形にする」ことです。
5. Power BI Desktopでの取り込み手順(SharePointフォルダー例)
5-1. データ取得からファイル特定まで
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データを取得でSharePointフォルダーを選択
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SharePointサイトを指定して接続(組織アカウントで認証)
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一覧から対象ファイルをフィルター(フォルダーのパス、ファイル名で絞る)
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対象のExcelを選び、コンテンツを開いてテーブルを選択
ポイントは「サイトに接続してからファイルを絞る」ことです。ファイルの共有リンクを貼り付けるやり方は、更新で詰まりやすいので避けます。
5-2. Power Queryで必ずやる整形
読み込み後、Power Queryエディターで次を揃えます。
データ型は後回しにしがちですが、更新エラーの多くは「日付列に文字が混ざった」「数値列に空白ではなくハイフンが入った」など型の揺れが原因です。入力ルールとセットで型を安定させます。
5-3. 取り込みの粒度を決める(1テーブル=1目的)
Excelに「入力」「集計」「貼り付け用」の表が混在していると、取り込みが複雑になります。
おすすめは
6. Power BI Serviceで更新できる形にする
Desktopでレポートができても、Serviceで更新が回らないと運用になりません。
6-1. 資格情報(認証)の考え方
SharePoint Online上のファイルなら、基本は組織アカウント(OAuth)で更新できます。更新担当者のアカウントに依存すると、人事異動や退職で止まるので、可能なら「更新用のサービスアカウント」や「共有の運用アカウント」を用意し、権限を付与しておくと安全です。
6-2. ファイル配置のルール(更新の安定に直結)
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ファイルは特定のフォルダーに固定して置く(移動しない)
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ファイル名は固定(末尾に日付を付ける運用は避ける)
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同名ファイルを複数作らない(過去分は別フォルダーへ退避)
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権限は最小限でよいが、更新アカウントには確実に閲覧権限を付ける
6-3. スケジュール更新の前に確認すること
7. 現場で回る運用ルール(チェックリスト)
接続ができても、運用が崩れるとすぐに止まります。Excel入力者とPower BI運用者の間で、次のルールを明文化しておくと強いです。
7-1. 変更管理(これがないと必ず壊れる)
7-2. 入力担当向けのルール(分かりやすさ重視)
7-3. ファイル運用(バックアップと復旧)
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SharePointのバージョン履歴を有効にしておく
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月次など節目でスナップショット(コピー)を取る
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本番ファイルを直接いじらず、修正はコピーで検証してから反映する
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エラーが出たら「いつから」「誰が」「何を変えたか」が追えるようにする(簡単な変更ログでも良い)
7-4. データ品質のルール(後で泣かない)
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主キー列の重複チェック
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必須列の欠損チェック
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コード体系(例:得意先コード、商品コード)の桁数や形式を統一
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日付の範囲チェック(未来日、過去すぎる日付を弾く)
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数値の異常値チェック(マイナス不可なのにマイナスがある等)
8. よくあるトラブルと切り分け
最後に、止まったときに慌てないための典型パターンを整理します。
8-1. 更新が突然失敗した
原因候補
対処
8-2. Serviceでは更新できないがDesktopではできる
原因候補
対処
8-3. 列が見つからないエラーが出る
原因候補
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列名が変更された(全角半角、スペース有無も含む)
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列追加が途中に挿入され、参照がずれた
対処
9. まとめ:安定接続のコツは「データの型」と「列の約束」
SharePoint上のExcelをPower BIのデータソースにするなら、接続そのものよりも、Excelの作り方と運用ルールが成果を左右します。テーブル化で範囲ズレを防ぎ、列固定(スキーマ固定)で更新を止めない。さらに、変更管理と入力ルールをセットにして初めて、power bi excel sharepoint 接続 が「一度つないで終わり」ではなく「回り続ける仕組み」になります。まずは1ファイル・1テーブルから小さく始め、ルールを育てながら広げていくのが成功への近道です。
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