Power BIの折れ線グラフで特定の線を非表示にする方法:代表的なアプローチと設定のコツ

Power BIの折れ線グラフでは、複数の指標やカテゴリを同時に可視化できる反面、「特定の線だけを一時的に表示したくない」「一部の系列は非表示にしておきたい」といったニーズが発生することがあります。実現方法はいくつかあり、代表的なアプローチとしては以下の4パターンが挙げられます。


1. フィールド(値や凡例)から該当データを取り除く

1-1. 不要な指標をそもそも“値”に追加しない

  • 用途:折れ線を単純に削除したい・表示しないようにしたいとき

  • 手順

    1. レポートビューの右側「フィールド」ペインで、折れ線グラフに設定している「値(Y軸)」から不要な指標(数値列)をドラッグで外すか、右クリック→「削除」します。

    2. すると、その指標の線自体がグラフから消え、凡例にも表示されなくなります。

1-2. 凡例に使用している列をフィルターで制御

  • 用途:同じ指標の中で、特定カテゴリだけ折れ線を非表示にしたい

  • 手順

    1. グラフやページ、レポート全体に対して「フィルター」ペインを活用し、表示したくないカテゴリを除外します。

    2. すると、対象カテゴリの線がグラフから除外され、凡例にも表示されなくなります。

メリット:データそのものをビジュアルから外すため、混乱を防ぎやすい
デメリット:一時的にデータの存在を隠したいだけで、将来また表示したい場合には再設定が必要


2. 色やスタイル設定で「線だけ」を目立たなくする

「指標自体は存在させたいが、線を見えなくしたい」場合は、折れ線のスタイルをカスタマイズすることで実質的に線を消す手法があります。

2-1. 色を透明に設定する

Power BIの折れ線グラフの「形式」タブ(ペイントブラシアイコン)から「データ色(Data colors)」を開き、

  • 色選択で RGBA のアルファ値(透明度)を 0 に設定
    すれば、線が完全に透明になり、見た目上は消えたように表示されます。

2-2. 線幅を「0」に設定する

同じく「形式」タブの「シェイプ(Shapes)」や「シリーズ」ごとの設定で、

  • Stroke width(線幅) = 0
    と指定すると、その系列の線が表示されなくなります(ただし、マーカーがオンの場合は点だけが残る)。

メリット:データや系列自体はグラフの中に残るため、ツールチップやドリルダウン等は維持できる
デメリット:凡例には系列名が残るので、「線がないのに凡例がある」状態になり、混乱する可能性がある


3. DAXやPower Queryで値を「BLANK()」化する

折れ線は「数値データが存在する」区間にプロットされます。逆に言えば、「表示させたくない区間(あるいはカテゴリ)の値」を空 (BLANK) にしてしまえば、その部分はグラフ上で折れ線が描画されません。

3-1. DAXで特定条件を満たしたらBLANKを返す

例:

DAX
Measure_WithoutCertainCategory =
IF(
SELECTEDVALUE('Category'[CategoryName]) = "対象外カテゴリ",
BLANK(),
SUM('Sales'[Amount])
)

上記のように、ある特定のカテゴリに該当するときはBLANK()を返す計算列・メジャーを作ると、対象外の線はグラフから抜け落ちます。

注意:BLANKにした部分は「データがない」とみなされるため、折れ線が途切れる・凡例からも表示が外れる、といった動きになります。

3-2. Power Queryで値を削除・空欄にする

Power Queryでも条件付きで該当行の値をNULLに書き換えることで、結果的に折れ線が描画されないようにできます。ただし、こちらはデータ自体を変換してしまうため、他のレポートにも影響が及ぶ可能性がある点に注意が必要です。


4. [応用] 凡例に残さず線だけ消すには?

前述のとおり、色を透明にすると線自体は見えなくなりますが、凡例の項目は残り続けます。「グラフ上の線も消したいが、凡例にも表示させたくない」場合、以下のアプローチが考えられます。

  1. 系列ごとフィルターで除外する(最も単純)

  2. Measureを分岐させてBLANK()を返す手法を使い、事実上そのシリーズが存在しない状態を作る

  3. レポート/ページでユーザーが切り替えられるスライサーを用意して、非表示にしたい系列をチェックオフにする

ポイント:単に「線が見えない」だけでよければ色・線幅で対応し、「凡例にも表示させたくない」場合はフィルターやBLANK化など、データの存在自体を取り除く仕組みにするのがスムーズです。


5. トラブルシューティング:線が消えない・思わぬ副作用

  1. 線幅を0にしても点が残る

    • 「データ ラベル」や「マーカー」がオンになっていると、点が表示されたままになる場合があります。必要に応じて「マーカー」「データ ラベル」をオフにしてみてください。

  2. 透明色が設定できない・反映されない

    • Power BIのバージョンによっては色選択のUIが限定的な場合があります。カスタムカラー入力(HEX + RGBA)を試すか、なるべく最新バージョンへアップデートしましょう。

  3. フィルターをかけたら他のビジュアルにも影響が…

    • ページ全体またはレポート全体のフィルターにしているかもしれません。フィルターのスコープを「ビジュアルレベル」に限定するなど、適切な範囲を指定する必要があります。


6. まとめ

Power BIの折れ線グラフで「線を消す」方法は、**大きく分けると「データを除外する」「スタイル設定で見えなくする」「値をBLANK化する」**の3つに整理できます。どの方法を選ぶかは、次のような観点で決めるとよいでしょう。

  1. 完全に表示対象から外したい場合

    • フィールドから該当指標やカテゴリを外す

    • フィルターで除外する

    • BLANK() を返す(凡例にも表示させたくないなら、シリーズ自体を持たない工夫が必要)

  2. 一時的に線だけ見えなくし、ツールチップやデータ自体は保持したい場合

    • 線の色を透明にする

    • 線幅を0に設定する

「線を消す」ニーズは、複数カテゴリの折れ線グラフや複合ビジュアルを扱う中で発生しやすいですが、設定方法を把握しておけば、ビジュアルの見やすさや情報伝達力を大きく向上させられます。必要に応じて適切な手法を選び、Power BIのレポートをより洗練された形に仕上げていきましょう。


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