Power BIのウォーターフォール図:可視化の特徴とビジネス活用のポイント

決算書や損益分析の資料などでよく見かけるウォーターフォール図(Waterfall Chart)。累積や差分を一目で把握できるグラフとして、ビジネスの現場では有用性が高いことで知られています。Power BIでもウォーターフォール図は標準ビジュアルの一つとして提供されており、売上高やコストなどの増減要因をシンプルかつ分かりやすく可視化できます。本記事では、ウォーターフォール図の特徴や基本的な作り方、活用時の注意点をわかりやすく解説します。


1. ウォーターフォール図とは?

ウォーターフォール図(Waterfall Chart)とは、累積された数値の増減を段階的に可視化するためのグラフです。棒グラフを左右(もしくは上下)に階段状につなぎ、最終的な合計値を明確に示します。

  • 特徴的な点

    • 増加分はプラス方向の棒、減少分はマイナス方向の棒で表現

    • 中間の集計値を視覚的に確認でき、数値の変化要因を捉えやすい

よく利用されるシーンとしては、売上高と費用を段階的に積み上げ・差し引きして最終利益を示す場合や、予算との差異がどのように生じたかを説明するようなレポート作成が挙げられます。


2. ウォーターフォール図を使うメリット

  1. 増減要因が一目でわかる
    棒の長さと方向(プラス/マイナス)を見るだけで、どの要素がどれだけ数値を押し上げ、または引き下げているのかを簡単に把握できます。

  2. プレゼン資料として説得力が高い
    複雑な数値をシンプルなビジュアルにまとめられるため、経営会議やクライアント向けプレゼンなどでも役立ちます。

  3. 段階的な構成を理解しやすい
    中間ステップを可視化することで、最終的な合計値がどのように形成されたかを直感的に伝えられます。


3. Power BIでウォーターフォール図を作る手順

3-1. データの準備

  • カテゴリ列(例:収益要因、費用要因、純利益など)

  • 数値列(例:金額、増減額など)

データが整っていない場合は、Power Queryで不要な列を削除したり、カテゴリを適切に分割・結合してからウォーターフォール図用のデータを用意します。

3-2. ビジュアルの選択

  1. Power BI Desktopの[レポートビュー]で空白のキャンバスをクリック

  2. [ビジュアル化]の一覧から「ウォーターフォール」を選択(滝のようなアイコン)

  3. 選択したビジュアルがキャンバスに挿入されます

3-3. フィールドの設定

  • カテゴリ(軸)
    ウォーターフォール図の横軸に相当する列(例:売上、コスト、利益…)をドラッグ&ドロップします。

  • 値(Y軸)
    増減額となる列を「Y軸」に割り当てます。Power BIが自動的にプラス/マイナスを判別し、棒を描画してくれます。

3-4. 最終棒を合計として表示する

ウォーターフォール図では通常、最終段階を「合計(Total)」として表示することが多いです。Power BIでは、ビジュアルの「フォーマット」オプションで**「最終棒を合計として表示する」**の設定をONにできます。

  • これを有効にすると、最終的な値を1本の棒として表示し、それまでの増減要因との区別が明瞭になります。


4. ウォーターフォール図の活用例

4-1. 売上高から最終利益までのステップを可視化

  • 売上高原価販管費その他費用/収益最終利益
    といったフローをウォーターフォール図で示すことで、どの費用が大きな割合を占めているか一目で把握できます。

4-2. 予実管理(予算と実績の差異分析)

  • 予算値を起点に、正・負の差異要因を加減算して、最終的な実績値を表示。どの要因でプラス要素が大きかったか、またはマイナス要素が痛かったかが可視化されます。

4-3. プロジェクトのコスト分析

  • 当初見積追加要件人件費増加コスト削減施策最終コスト
    といった増減をウォーターフォール図にすることで、プロジェクトの支出構造が分かりやすくなり、改善点を具体的に把握できます。


5. ウォーターフォール図の注意点・ベストプラクティス

5-1. カテゴリの並び順

ウォーターフォール図は描画するカテゴリの順序が重要です。順序を間違えると、増減の流れが正しく伝わらない場合があります。

  • 並び順の制御:軸となる列のソート機能や、Power Queryで順序を設定しておくなど、論理的に正しい並びに調整しましょう。

5-2. マイナス(減少)が分かりやすい配色

Power BI標準でもプラスとマイナスで色を変えてくれますが、社内標準のカラーコードやアクセシビリティを考慮する場合は、**ウォーターフォール図の「データ色」**から独自に配色をカスタマイズすると良いでしょう。

5-3. 最終合計がわかるように強調

ウォーターフォール図の魅力は「最終合計」を起点とした増減構造の可視化です。最終合計の棒だけ別色にする、あるいはラベル表示を強調するなど、一目で最終値が分かる工夫を行うのがおすすめです。

5-4. 多数の要因を入れすぎない

ウォーターフォール図は直感的に理解しやすい反面、項目数が多すぎると逆に混乱を招く可能性があります。要因を数個にまとめるか、複数のウォーターフォール図に分割するなど、視覚的な負荷を下げる工夫が必要です。


6. まとめ

ウォーターフォール図は、売上やコストなどの増減要因を可視化する上で非常に便利なビジュアルです。Power BIでは標準ビジュアルとして提供されており、カテゴリ列と数値列を設定するだけで、簡単に作成できます。

  • メリット:増加・減少を直感的に把握でき、プレゼンにも有効

  • 作成手順:データを整備し、ウォーターフォールビジュアルを選択 → カテゴリ列と値列を設定 → 「最終棒を合計として表示する」などのオプションを調整

  • 注意点:並び順や配色、要素数の管理を工夫して、見やすく分かりやすいレポートを作成

もし、ウォーターフォール図を含むレポートの設計やデータモデリングで悩みがある場合は、外部の専門家に相談するのも一つの手段です。短期間で効果的な可視化とデータ分析を実現するためにも、ぜひ専門家の知見を活用してみてください。


もし困り事があるなら、まずは無料相談

棒と折れ線を一つのチャートにまとめたい」「大量行データでエラーが出てしまう」「CSV の複雑なパースをどうすればいい?」など、Power BI や Power Automate を活用する上でのお悩みはぜひご相談ください。


5. セミナーで学ぶ!DAX 関数の実践スキル

📊 Power BI ハンズオンセミナー初級編

  • 短時間で「データモデリングの基本」や「レポート作成」のノウハウを習得。

  • 簡単な組み合わせチャートの作成などを実践形式で学ぶチャンス。

  • 少人数制のため、定員になり次第締切!
    セミナー詳細を今すぐチェック

📈 Power BI ハンズオンセミナー中級編

  • DAX 関数 × データモデル設計 を活用し、複雑な分析・可視化をスムーズに!

  • 2 つのグラフを重ねるなど、より高度なビジュアル設計にも対応。

  • 業務効率をアップし、チームでの評価を高めるチャンス!
    詳細はこちら

DAX を使いこなしながら、最適なチャートを設計できれば、Power BI の真価を最大限引き出すことができます。

関連記事

この記事へのコメントはありません。

カテゴリー

アーカイブ