Power BIを使いこなし、データドリブンな意思決定を実現しようとする際に、時系列データを効果的に可視化する方法としてよく用いられるのが折れ線チャート(ラインチャート)です。売上やアクセス数、在庫変動など、時間とともに推移する指標をビジュアル化することで、直感的に変化の傾向や異常値を捉えられます。しかしながら、「折れ線チャートを作ってみたけれど、正しい設定ができずに思うようなグラフにならない」「複数指標を重ねたいが見づらくなる」などのお悩みを抱える方も少なくありません。
そこで本記事では、Power BIで折れ線チャートを効果的に作り、ビジネス成果へとつなげるためのステップをわかりやすく解説します。基本的な設定方法から、複数系列を扱うときのポイント、さらにDAXによる高度な時系列分析までを網羅し、実務にすぐ役立つ情報を盛り込みました。加えて、データ活用推進に関する無料相談やコンサルサービス、実践型セミナーについてもあわせてご紹介いたしますので、「自社のデータ分析をさらに底上げしたい」と感じている方はぜひ最後までご覧ください。
1. 折れ線チャートの基礎
1-1. なぜ折れ線チャートが重要なのか
折れ線チャートは、時間の経過とともにどのように数値が変化しているのかを視覚的に把握するのに非常に適しています。たとえば日次・週次・月次などの区切りで売上やアクセス数を折れ線として示すと、シーズンごとの増減やトレンドがひと目でわかります。この“時系列の流れを捉える”という特性は、意思決定において重要な示唆を与えてくれます。
1-2. Power BIで作るメリット
Excelや他のBIツールでも時系列グラフを作れますが、Power BIには以下のような利点があります。
- 対話型操作(インタラクティブ性)
ユーザーがスライサーやフィルターを使って簡単に任意の範囲や条件を切り替えられます。 - 複数データソースの統合
Excelファイル、データベース、クラウドサービスなど、さまざまなソースをまとめて取り込み、統合した状態でグラフを描画可能です。 - チームでの共有が容易
Power BI Serviceに発行すれば、組織内でブラウザやモバイルアプリを通じてリアルタイムに可視化できます。
2. 基本的な作成手順
2-1. データの準備と整形
まずはPower BI Desktopを起動し、「データを取得」から分析したい時系列データを取り込みます。Excelファイル、CSV、クラウド上のデータベースなど、利用するソースに応じて設定し、Power Query Editorで欠損値の処理や列名の整合性を整えておきましょう。
2-2. 日付テーブルの用意
時系列分析で折れ線チャートを使う場合、「日付テーブル」の準備が欠かせません。日付テーブルには、連続した日付の列や年度・月・週などの情報を含め、メインのデータテーブルとリレーションシップを張ります。これにより、フィルターやDAXのTime Intelligence機能をフル活用できるようになります。
2-3. レポートビューで折れ線チャートを追加
データの取り込みと整形が済んだら、レポートビュー(Power BI Desktop左下のアイコン)に移動しましょう。右側の「ビジュアル化」ペインから折れ線チャートのアイコンをクリックまたはドラッグ&ドロップし、キャンバス上に配置します。
2-4. フィールドをドラッグ&ドロップ
折れ線チャートを選択した状態で、右側の「フィールド」リストから次のように設定します。
- 軸(X軸):日付(または月や週などの期間フィールド)
- 値(Y軸):売上金額、アクセス数、在庫数など、時系列で表示したいメトリック
これで最も基本的な折れ線チャートが描画されます。
2-5. カスタマイズと書式設定
折れ線チャートをより見やすくするために、以下のカスタマイズが可能です。
- 色や線の太さの変更
- タイトルや凡例の位置を調整
- データラベルの表示/非表示切り替え
- 軸の種類(連続/区切り)の選択
- ツールチップの内容編集
不要な要素を削り、重要な情報を強調することで、視認性の高いグラフを作成できます。
3. 複数系列・比較のコツ
折れ線チャートを活用する大きなメリットの一つは、複数の指標を同じ時系列上で比較できる点です。たとえば「売上金額」と「利益」または「ページビュー(PV)」と「エンゲージメント率」など、関連するKPIを重ねて表示することで、一目で相関関係やトレンドのずれを確認できます。
- 複数の値を追加する
折れ線チャートの「値」欄に複数のフィールドをドラッグし、それぞれに異なる色を割り当てると、同じチャート上で2本以上のラインが描画されます。 - 軸のスケールに注意
指標によって絶対値が大きく異なる場合は、片方を「二次軸」に設定することで可視化しやすくなります。 - フィルターやスライサーと組み合わせる
ユーザーが特定の期間やカテゴリを選択すると、折れ線チャートがダイナミックに変化し、データ探索がスムーズに進みます。
4. DAXで高度な時系列分析を実現
折れ線チャートは、DAX関数を組み合わせることでさらに便利な時系列分析を行うことができます。以下はよく使われるテクニックの一例です。
4-1. 前年同月比や前年同期比
新しいメジャーを作成し、SAMEPERIODLASTYEAR
などのTime Intelligence関数を利用すれば、前年同月や前年同期の数値を自動計算できます。折れ線チャート上で前年と今年を重ねれば、パフォーマンスの比較がより分かりやすくなります。
Sales LY = CALCULATE(
SUM('Sales'[SalesAmount]),
SAMEPERIODLASTYEAR('Calendar'[Date])
)
4-2. 移動平均や累計
ノイズを除去してトレンドを把握したいときは、移動平均(Moving Average)や累計(Cumulative)を計算するメジャーを作成します。これらを折れ線チャート上に重ねると、より高精度な分析が可能です。
Sales 3MA = AVERAGEX(
DATESINPERIOD('Calendar'[Date],
LASTDATE('Calendar'[Date]),
-3,
MONTH
),
CALCULATE(SUM('Sales'[SalesAmount]))
)
5. 折れ線チャートの注意点
- 日付データの欠損に要注意
途中に日付が抜け落ちている場合、折れ線が飛び飛びになったり、集計値が正しく計算されないことがあります。 - 系列が多すぎると見にくい
指標を何本も重ねると、かえって全体像がわかりにくくなることがあります。必要に応じてページを分けたり、ユーザーが任意に指標を切り替えられる仕組みを検討しましょう。 - 軸のスケール調整
デフォルト設定のままでは、横軸が連続なのか区切りなのか、Power BIの自動設定に任せてしまいがちです。時系列の粒度に合わせて適切に設定することで、見やすさを格段に向上できます。
6. データ活用の壁にぶつかったら:無料相談とコンサルの活用
折れ線チャートの作り方や時系列分析のポイントを押さえたとしても、いざ自社で本格的にデータ活用を推進しようとすると、
- 「技術者やデータ分析の専門人材が少ない」
- 「やりたいことはあるが、何から手を付ければ良いかわからない」
- 「ほかの業務が忙しくて手が回らない」
などの課題に直面するかもしれません。
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7. スキルアップの近道:実践的なセミナー開催中
Power BIの基礎を学んだうえで、「もっと高度なレポート作成や時系列分析に挑戦したい」「DAX関数やデータモデル設計を体系的に身につけたい」といった方には、弊社が主催するセミナーがおすすめです。
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まとめ
Power BIの折れ線チャートは、時系列データのトレンド把握や異常検知に欠かせない重要なビジュアルです。基本的な設定から複数系列・比較のテクニック、さらにはDAXを活用した高度な時系列分析までマスターすることで、企業の意思決定を大きく前進させることが期待できます。
- データ整形とモデル設計を丁寧に
- 日付テーブルとDAXによるTime Intelligence機能を活用
- 見やすさ・使いやすさを重視したグラフ設計
- 複数指標の比較や前年対比でより深いインサイトを得る
もし自社内でのデータ活用推進に課題を感じている、あるいはもっと早く結果を出したいとお考えでしたら、外部の力を借りることも選択肢の一つです。弊社の無料相談やコンサル、ハンズオンセミナーをぜひご活用いただき、データドリブンなアクションを加速させてください。
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