Power BIでプロジェクト管理を可視化しようとするときに便利なのがガントチャートです。タスクの進捗や担当者、期間などを一目で把握できるため、プロジェクトの円滑な進行に役立ちます。本記事では、Power BIでガントチャートを作成する方法や、カスタムビジュアルの活用例、運用上のポイントなどを解説します。プロジェクト管理やリソース管理の効率化を目指す方は、ぜひ参考にしてみてください。
1. ガントチャートとは?
ガントチャートは、横軸に時間、縦軸にタスクを配置して、タスクの開始日や終了日・期間を可視化する表形式の図表です。プロジェクト管理の分野では定番のツールであり、以下のような利点があります。
- プロジェクト全体の進捗把握
タスク間の依存関係や進捗度を一目で確認できる。 - スケジュール調整がしやすい
タスクの期間が視覚的に表示されるため、遅延や重複などを早期に発見できる。 - リソース管理の効率化
各タスクの担当者と期間を関連付けることで、リソースの過不足を把握しやすくなる。
従来はエクセルやMS Projectなどでもガントチャートを作成できますが、Power BIを使うことで他のビジュアルとの組み合わせや高度な分析が可能になります。
2. Power BIでガントチャートを使うメリット
Power BIはデータの可視化と共有が容易に行えるBIツールとして広く活用されています。ガントチャートをPower BI上に組み込むことで、以下のようなメリットが得られます。
- リアルタイムなデータ更新
各種データソースと接続してスケジュール情報を随時更新。レポートを閲覧するたびに最新の状態をチェックできる。 - 他の視覚化との連携
ガントチャートだけでなく、棒グラフ・折れ線グラフ・テーブルなどと組み合わせて包括的な分析が可能。 - 共有が簡単
Power BIサービスを通じてオンラインでレポートを共有。外出先やリモート環境でも最新情報をチェックできる。 - インタラクティブな操作
フィルターやスライサーを使って絞り込みが容易。特定のプロジェクトやタスクだけに焦点を当てて分析できる。
3. Power BIガントチャートの作り方
Power BIではガントチャートの「標準ビジュアル」は提供されていません。そのため、基本的にはカスタムビジュアルを利用してガントチャートを作成します。ここでは、カスタムビジュアルの入手方法やデータ準備の流れをわかりやすく解説していきます。
3.1 標準ビジュアルとの違い
Power BI Desktopには棒グラフや折れ線グラフなど、多数の標準ビジュアルが用意されていますが、ガントチャートは存在しません。そのため、以下のようなカスタムビジュアルを利用する必要があります。
- Gantt by xViz
- Microsoft公式のGantt (by Microsoft)
- Custom Gantt Chart
- その他、有志開発によるガントチャート拡張ビジュアル
これらはいずれもPower BIのビジュアルとして追加インストールして使用する形となります。
3.2 カスタムビジュアルを入手する方法
カスタムビジュアルはPower BI DesktopのAppSourceやPower BI内の「Marketplace」から入手します。
- Power BI Desktopを開く
- [ビジュアルの取得]ボタン (Power BI Desktopの右側の「ビジュアル」のウィンドウ上部にある”…“ ボタン) をクリック
- Marketplace から目的のガントチャートビジュアルを検索
- [追加]ボタンをクリックしてダウンロード・インストール
ダウンロードが完了すると、ビジュアルアイコンとして追加されるので、グラフエリアに挿入して使い始めることができます。
3.3 データの準備と注意点
ガントチャートビジュアルを使う際は、次の項目を含むデータが必要になります。
- タスク名
プロジェクトを構成するタスクの名称。 - 開始日(Start Date)
タスクの開始日を日付型で用意する。 - 終了日(End Date)
タスクの終了日を日付型で用意する。開始日との対応に注意。 - 進捗率(Completion %) (任意)
タスクの進捗をパーセンテージで管理している場合は可視化に役立つ。 - リソース/担当者(Resource) (任意)
タスクを担当するメンバー名や部署など。
データを取得する際の主な注意点は、開始日や終了日を適切な日付型に変換しておくことです。もし日付の形式がテキストなどになっている場合は、Power Queryエディターで「日付型」に変更しておきます。また、進捗率やタスクの粒度がバラバラにならないよう、あらかじめExcelやその他のデータソースで整理しておくことが重要です。
3.4 基本的なステップ
- データの取り込み
ExcelやCSV、データベース等からPower BI Desktopにインポートし、日付型などを整備。 - カスタムビジュアルの挿入
先述のMarketplaceでガントチャートビジュアルを入手し、レポートキャンバスに配置。 - フィールドのマッピング
- タスク名 → Task もしくはCategory
- 開始日 → Start Date
- 終了日 → End Date
- リソース → Resource
- 進捗率 → Completion %
- デザイン調整
色やバーの表示形式、ラベルの有無を調整して見やすいガントチャートを作成。 - フィルター・スライサーの追加
プロジェクト名や担当者などで絞り込みできるようにスライサーを追加。分析しやすいレイアウトを整える。 - レポートの公開・共有
Power BIサービスに発行し、チームメンバーや利害関係者と共有。
これらのステップを踏むことで、Power BIでガントチャートをスムーズに作成し、プロジェクト管理を一元化することができます。
4. ガントチャートを活用したプロジェクト管理のポイント
4.1 タスクの粒度設定
ガントチャートはタスクごとの期間を表示するため、どの粒度(どの細かさ)でタスクを定義するかが重要です。細分化しすぎると見づらくなり、大まかすぎると管理しきれません。週単位や月単位など、チームの運用形態に合った粒度を検討しましょう。
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4.2 リソース管理との連携
ガントチャートを使うメリットの一つは、担当者(リソース)の割り当て状況を可視化できる点です。複数のプロジェクトを横断しているメンバーの過剰負荷や、逆に手の空きがあるメンバーなどを素早く確認できます。リソース管理のデータと連携しながら、均等な配分を行う仕組みを整えると、無理のないスケジュールが組みやすくなります。
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4.3 チームコラボレーションを高める工夫
ガントチャートはプロジェクト管理者だけでなく、チームメンバー全員が最新状況を把握できる仕組みとして活用可能です。
- Power BIサービスで共有
閲覧権限を与え、メンバー全員がオンラインで進捗を追えるようにする。 - コメントやアノテーション機能の活用
タスクバーにメモやコメントを残しておき、タスクの背景情報を共有。 - モバイルアプリやTeams連携
場所を選ばずに進捗確認やタスク更新が可能になる。
5. よくある質問(FAQ)
Q1: Power BIの無料版でもガントチャートビジュアルを使えますか?
A1: はい、Power BI Desktop(無料)でカスタムビジュアルをインストールし、レポートを作成することは可能です。ただし作成したレポートを組織内で共有・配布するにはPower BI Proなどのライセンスが必要になる場合があります。
Q2: ExcelやGoogleスプレッドシートのデータでもガントチャートを作成できますか?
A2: もちろん可能です。ExcelやGoogleスプレッドシートからPower BIにデータをインポートし、カスタムビジュアルの設定を行えばガントチャートを作成できます。
Q3: タスクの依存関係はPower BIガントチャートで表現できますか?
A3: 一部のカスタムビジュアルでは矢印や線を使ってタスク間の依存関係を表現できます。ただし、すべてのガントチャートビジュアルが対応しているわけではないため、使用するビジュアルの機能を確認してください。
Q4: 過去の日付や将来の予定を同時にモニタリングしたい場合は?
A4: フィルターやスライサーを使用し、期間を指定することで、過去・未来を含めた時系列のタスクを容易に切り替えてモニタリングできます。
6. まとめ
Power BIでガントチャートを活用すると、プロジェクト管理に必要なタスク・スケジュール・リソースなどを一元的に把握しやすくなります。標準ビジュアルにはない機能なので、カスタムビジュアルをダウンロードしてプロジェクト管理に特化したレポートを作りましょう。進捗率や担当者情報なども組み合わせれば、チーム全体のタスク把握やコラボレーションを強化できます。
- ガントチャートはプロジェクト管理の強力なツール
- Power BIのカスタムビジュアルで作成可能
- リアルタイム更新や他のグラフとの組み合わせが便利
- チーム全員で共有し、コラボレーションを促進
これからPower BIを使ってプロジェクト管理を最適化したい方は、ぜひガントチャートの導入を検討してみてください。プロジェクト全体の見通しがクリアになるだけでなく、リソース配分やスケジュール調整のスピードが格段に向上するはずです。
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