Power BI データフロー(以下「データフロー」)は、Power BI サービス上でデータを取り込み・変換・準備して、複数のレポートやダッシュボードで再利用できるようにする仕組みです。データフローを利用することで、データの前処理を Power BI サービス側で集中的に管理しつつ、Power BI Desktop や他のレポート作成環境から簡単に参照できます。以下では、データフローからレポートを作成する一般的な手順を紹介します。
1. データフローの準備
- Power BI サービスにサインイン
Power BI サービス に組織アカウントなどでサインインします。 - ワークスペースの選択
データフローを作成・管理したいワークスペースを選択します(「マイワークスペース」や組織内の他のワークスペースなど)。 - データフローの新規作成(まだ作成していない場合)
- ワークスペース画面左上の「+新規」または「新しい項目の作成」から「データフロー」を選択
- 「定義された新しいエンティティの作成」などのオプションを選ぶ
- データの接続先を選んでインポート・変換設定を行う
- 必要に応じてクエリ エディターでデータのクリーニングや変換を実施
- 「保存して閉じる」をクリックしてデータフローを保存
- データフローのリフレッシュとスケジュール設定(任意)
- データフローの設定画面からリフレッシュ スケジュールを設定することで、自動的に最新データを取得するように設定できます。
ポイント: 既にデータフローが存在している場合は、上記作業は不要です。接続先として、作成済みのデータフローを利用するだけです。
2. Power BI Desktop でデータフローに接続
データフローを利用してレポートを作成する場合、もっとも一般的なのが Power BI Desktop を使用する方法です。
- Power BI Desktop を起動
- [データの取得] から「Power Platform」 → 「Power BI データフロー」を選択
- もし表示されない場合はバージョンが古い可能性がありますので、Power BI Desktop を最新バージョンにアップデートしてください。
- サインイン
- 組織アカウント(Azure AD アカウント)などを使い、Power BI サービスと同じアカウントでサインインします。
- 接続先データフローの選択
- 自分がアクセス権を持っているワークスペースにあるデータフロー一覧が表示されるので、該当のデータフローを選択します。
- そのデータフロー内に定義されているテーブル(エンティティ)を選択し、「読み込み」または「変換データ」をクリックします。
- 「読み込み」を選ぶと、すぐにモデルに取り込みます。
- 「変換データ」を選ぶと、Power Query エディターでデータ形状を調整できます。
- Power Query でデータ変換(必要に応じて)
- すでにデータフロー側で変換済みの場合は最小限で済むことが多いですが、さらにモデルに合わせて列の型変更や不要列の削除などを行うことができます。
- データモデルの作成・拡張
- 複数のデータフローを組み合わせたり、ほかのデータソース(Excel, SQL Server など)と併用することも可能です。
- 必要に応じて関係を設定し、メジャー(DAX)を作成します。
3. レポートの作成
- レポート ビューに切り替え
- 左メニューのレポート アイコンをクリックして、Power BI Desktop のレポート ビューに移動します。
- ビジュアルの追加
- [視覚化] ウィンドウから表やグラフ、カードなどのビジュアルを選択し、キャンバスへ配置します。
- フィールド ウィンドウから必要なフィールドをドラッグ&ドロップしてビジュアルを作成していきます。
- スライサーの追加
- 利用者がインタラクティブにデータを絞り込みできるよう、スライサー(フィルター)をレポートに配置します。
- フォーマットやテーマの調整
- グラフの色や書式設定、レポート テーマの適用などを行い、見やすいレポートにカスタマイズします。
- ページの追加と構成
- 必要に応じて複数ページのレポートを作成できます。
4. レポートの発行と共有
- Power BI サービスへの発行
- レポートが完成したら、Power BI Desktop の [ホーム] タブから「発行」ボタンをクリックします。
- 発行先としてワークスペースを選択し、発行します。
- 成功するとブラウザが開き、Power BI サービス上でレポートを確認できるようになります。
- Power BI サービス上でのレポート共有
- Power BI サービスのワークスペース画面からレポートを開き、「共有」オプションで組織のメンバーと共有できます。
- ダッシュボードへのピン留めなども行うことで、より活用しやすくなります。
- アプリ化(任意)
- ワークスペース上で「アプリの作成」を行うと、レポートやダッシュボード、データセットなどをまとめて組織内で配信できます。
5. よくある質問 (FAQ)
- Q. データフローとデータセットは何が違うの?
- データフローは Power BI サービス上でデータを取り込み・変換して「エンティティ」として蓄える仕組みです。組織全体で再利用しやすい形でデータを用意するのに便利です。
- データセットはレポートが参照するためのモデル (テーブル、関係、メジャー など) を表し、通常は Power BI Desktop で作成・発行します。データフローを元にデータセットを組むことができます。
- Q. データフローを更新した場合、レポートには自動で反映される?
- データフローが更新されると、それを参照するデータセットが次回のリフレッシュ時に最新データを取り込みます。
- そのため、レポートでリアルタイムに反映させたい場合は、データセットのリフレッシュも定期的または手動で実行する必要があります。
- Q. データフローから複数のテーブルを読み込んだが、上手く関係が組めない
- データフローで作成したエンティティごとにキーとなる列が正しく定義されているか確認します。
- Power BI Desktop の「モデル」ビューで関係をドラッグ&ドロップして設定できます。
まとめ
- Power BI サービスでデータフローを作成・管理
- Power BI Desktop でデータ取得の際に「Power BI データフロー」に接続
- 必要に応じて Power Query で変換やデータモデリングを行う
- ビジュアルを配置してレポートを作成
- Power BI サービスへ発行し、共有
この手順で、組織内で一元管理されたデータフローからスムーズにレポートを作成・共有できます。データフローを適切に活用することで、再利用性が高まり運用負荷や重複作業も軽減されるため、組織内での Power BI 活用がより効率的になります。
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