Power BI でレポートを作成する際、単に取り込んだデータを可視化するだけでなく、独自の計算式(メジャーや計算列) を追加してさらに高度な分析を行いたい場面が多々あるでしょう。たとえば「売上合計」「前年同月比」「利益率」など、ビジネス上の重要指標をダイレクトに表示することが可能です。この記事では、Power BI の計算式を追加する基本的な方法と、よくある活用例をご紹介します。


1. 計算式の種類:メジャー vs. 計算列

メジャー(Measure)

  • 特徴: レポート上のコンテキストに応じて動的に計算結果が変わる
  • 用途: 集計や期間比較などの集計式(売上合計、平均、前年比など)
  • : Total Sales = SUM('Sales'[Amount])

メジャーはユーザーがスライサーやビジュアルのフィルターを操作すると、そのコンテキストに合わせて再計算されます。たとえば「2023 年 1 月~3 月の売上合計」といった特定期間のデータだけを抽出する際などに強力です。

計算列(Calculated Column)

  • 特徴: テーブルの各行に対して固定的に値が計算され、データモデルに保存される
  • 用途: 文字列操作やカテゴリー分類など、行レベルで完結する演算(例:単価×数量=売上、都道府県コードから地域名を派生)
  • : Profit = 'Sales'[SalesAmount] - 'Sales'[CostAmount]

計算列はテーブルごとに列を追加するイメージなので、フィルターコンテキストというよりは「行単位」の操作がメインとなります。


2. 計算式(DAX)の追加手順

  1. Power BI Desktop での準備

    • [レポート] ビュー または [モデル] ビューを開いておきます。
    • 計算式を追加したいテーブルを選択すると作業しやすいです。
  2. メジャーの場合

    • リボンの [ホーム] タブ → [メジャーの新規作成] を選択。
    • 式バーに MeasureName = DAX式 を記述します(例:Total Sales = SUM('Sales'[Amount]))。
  3. 計算列の場合

    • リボンの [ホーム] タブ → [列の追加] を選択。
    • 式バーに ColumnName = DAX式 を記述します(例:Profit = 'Sales'[SalesAmount] - 'Sales'[CostAmount])。
  4. 式の検証

    • DAX 式でシンタックスエラーがないかチェック。
    • [エンター] で確定し、すぐに結果が表示されます。
  5. ビジュアルでの確認

    • 作成したメジャーや計算列は、フィールドリストに追加されるので、グラフやテーブルなどのビジュアルにドラッグ&ドロップして確認できます。

3. よくある活用例

1) 売上合計・利益率・前年比

  • 売上合計 (メジャー)
    DAX
    Total Sales = SUM('Sales'[Amount])
  • 利益率 (メジャー)
    DAX
    Profit Margin =
    DIVIDE(
    [Total Profit],
    [Total Sales] )
  • 前年同月比 (メジャー)
    DAX
    Sales Last Year =
    CALCULATE(
    [Total Sales],
    SAMEPERIODLASTYEAR('Date'[Date])
    )
    YoY Growth =
    DIVIDE([Total Sales] - [Sales Last Year], [Sales Last Year])

レポート上で期間や地域のスライサーを切り替えると、動的に値が変化します。

2) カテゴリ分けや列演算

  • カテゴリ列 (計算列)
    DAX
    Category =
    IF(
    'Product'[Price] > 1000,
    "High Price",
    "Standard Price"
    )
  • 複数の列の演算 (計算列)
    DAX
    Extended Price = 'Sales'[UnitPrice] * 'Sales'[Quantity]

こうした計算列はテーブルの行ごとに値が固定されるため、条件別にグループ分けしたい場合などに役立ちます。


4. 注意点・トラブルシューティング

  1. 計算列とメジャーの使い分け

    • どちらも同じような式を書けますが、メジャーは「動的集計」向き、計算列は「行レベルの固定的な値」向きと覚えておくと混乱しにくいです。
  2. フィルターコンテキストの理解

    • メジャーが思った通りに動かない場合、CALCULATE や FILTER、ALL などを使ってフィルターコンテキストを明示的にコントロールすると解決することが多いです。
  3. パフォーマンス面の考慮

    • 不必要に多くの計算列を作るとデータモデルが重くなる可能性があるため、頻繁に集計する指標はメジャーにまとめるのがおすすめ。
    • 大規模データの場合、計算ロジックやデータモデリングの最適化が重要です。
  4. DAX 構文エラー

    • 式バーにちょっとしたスペルミスや括弧の抜けなどがあるとエラーになりやすいです。エラーメッセージを確認して修正しましょう。

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まとめ

Power BI の計算式(メジャーや計算列)を追加することで、単なるデータの可視化から一歩進んだ分析が可能になります。売上やコストの集計、期間比較、条件分岐など、DAX を活用すれば柔軟なロジックを思いどおりに実装できるのが大きな魅力です。
ただし、使い分けやフィルターコンテキストなど、押さえておきたいポイントも多いため、最初は混乱するかもしれません。そんなときは、無料相談やセミナーを活用し、実践的なノウハウを身につけてみてください。最適な計算式を設定し、効率的にビジネスインサイトを得られる Power BI レポートを作り上げましょう。