power bi トルネードチャートを実務で使える形にする作り方(標準ビジュアルで再現・増減要因分析・見やすくするコツ)

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Power BIで「要因を並べて、左右にバーが伸びるグラフを作りたい」と言われたとき、候補に上がるのがトルネードチャートです。見た目のインパクトが強く、上位の要因が一目で分かるので、会議の場でも説明が通りやすいのが魅力です。特に、複数の変数を同時に比較したいときや、増減のドライバーを短時間で共有したいときに効果があります。

ただ、power bi トルネードチャートは「置けば勝手に出来上がる」タイプではありません。どの値を左右に出すのか、何を基準に並べ替えるのか、単位の揃え方、フィルターが変わったときの軸の揺れ、ラベルの出し方など、作り手が決めることが多いです。ここを雑にすると、見た目はそれっぽいのに読み手が誤解する、数値の意味がぶれる、フィルター操作で急に比較できなくなる、という問題が起きます。

この記事では、トルネードチャートをPower BIで安定して作るために、データの持ち方から、標準ビジュアルでの再現手順、増減要因分析としての作り方、見やすくするコツ、よくあるハマりどころまで、実務向けにまとめます。

トルネードチャートが刺さる場面を先に決める

同じ見た目でも、使い方は大きく分けて2系統あります。ここを混ぜると設計がぐちゃぐちゃになりやすいので、最初にどっちを作りたいか決めるのがおすすめです。

1つ目は、2つの状態を左右に並べて比較するタイプ
例:計画と実績、今年と去年、シナリオAとシナリオB、最低見込みと最高見込み
左右が「同じ指標の別バージョン」になるイメージです。

2つ目は、増減要因(プラス要因とマイナス要因)を左右に分けるタイプ
例:前年差の内訳、予実差の内訳、遅延の要因、コスト増の要因
左右が「影響度の正負」で分かれるイメージです。

どちらでもトルネードっぽく見せられますが、作り方と解釈が違います。最初に方向性を決めると、DAXや並び替えの設計がシンプルになります。

作る前に決めておくとブレない4つのこと

トルネードチャートは、以下を決めておくと作り直しが減ります。

・左右の意味
低い方と高い方なのか、計画と実績なのか、プラスとマイナスなのか。左右を言葉で説明できる状態にします。

・並び順のルール
基本は「影響が大きい順」です。左右比較なら、左右のうち大きい方の絶対値で並べ替えるのが読みやすいです。増減要因なら、影響度の絶対値で並べ替えるのが定番です。

・単位の揃え方
金額のまま出すのか、率にするのか。要因が異なる単位を混ぜると、見た目の比較が意味を持ちません。混在する場合は率に揃える、または同単位の要因だけを並べるのが安全です。

・表示する要因数
全部出すほど分かりにくくなります。上位10〜15程度に絞って「その他」をまとめる設計が現実的です。

データの持ち方はワイド型とロング型の2択

トルネードチャート用のデータは、どちらかの形にしておくと組み立てが楽になります。

ワイド型(列が増える)
Driver(要因) / Low / High のように、左右の値が別列になっている形です。小規模で分かりやすい反面、シナリオが増えると列が増えます。

ロング型(行が増える)
Driver(要因) / Scenario(シナリオ) / Value(値) のように、シナリオが行で増える形です。拡張に強く、スライサーでシナリオを切り替える設計に向きます。

実務で迷ったらロング型がおすすめです。後から「比較対象を増やしたい」「年度を切り替えたい」「部門別に見たい」などの要望が出ても崩れにくいです。

標準の集合横棒グラフでトルネードを再現する方法(カスタム不要)

Power BIの標準ビジュアルだけで作る場合は、基本的に「片側をマイナスにする」のがコツです。左右に伸びる形は、正負のバーを同じ軸に出すと作れます。

ここでは「2つの状態を左右に比較するタイプ」を例にします。たとえば Low と High がある想定です。

1) メジャーを作る(左右用に符号を分ける)

たとえば元のメジャーが次のようにあるとします。

Value = SUM('Fact'[Amount])

Low/Highがテーブル上で列として持っている場合は、それぞれ合計するメジャーを作ります。ロング型ならシナリオで切り替えて取得します。ここでは説明を単純化して LowValue / HighValue が既に取れる前提にします。

次に、左に出す値をマイナスにします。

LowBar = - [LowValue] HighBar = [HighValue]

表示用のツールチップやラベルには、元の正の値を出したいので、必要なら別メジャーも用意します。

LowValue_Display = [LowValue] HighValue_Display = [HighValue]

2) 並び替え用の指標を作る(重要)

左右のどちらか大きい方で並べ替えると、トルネードの形が分かりやすくなります。

SortKey =
VAR L = ABS([LowValue])
VAR H = ABS([HighValue])
RETURN MAX(L, H)

3) ビジュアルを作る(集合横棒グラフ)

・ビジュアル:集合横棒グラフ
・Y軸:Driver(要因名)
・X軸(値):LowBar、HighBar(2つのメジャーを入れる)

これで左右にバーが出ます。Low側が左に伸び、High側が右に伸びる形になります。

4) 軸を安定させる(左右が毎回ズレる問題を防ぐ)

トルネードチャートで地味に困るのが、フィルターを変えるたびに軸の最大値が変わり、左右の伸び具合が比較できなくなることです。会議中に見せるときほど不便になります。

対策は、X軸の最小・最大を固定することです。固定値は「想定される最大幅」に合わせます。運用としては、次の2つのどちらかが多いです。

・全期間での最大幅を基準に固定する(比較が安定する)
・ページや対象に合わせた最大幅を事前に決めて固定する(見やすさ優先)

厳密に自動化したい場合もありますが、軸固定は手動の方が運用が安定する場面が多いです。

5) 並び替えを設定する(影響が大きい順に)

ビジュアルの並び替えを SortKey で降順にします。これで「上位の要因が上に並ぶ」トルネードになります。

6) ラベルと色で誤解を減らす

・データラベルを表示し、表示単位を揃える
・左側(マイナス表示)は符号付きの値が出るので、ラベルには LowValue_Display をツールチップで見せる運用にするか、表示形式を工夫して読み手が混乱しないようにする
・色は左右で分けると直感的ですが、左右の意味が「良い/悪い」ではない場合もあるので、色で価値判断を誘導しすぎないのが安全です

増減要因のトルネードを作る方法(プラスとマイナスを左右に)

次に「前年差の内訳」「予実差の内訳」のような、要因の影響度で左右に分かれるタイプです。これは会議で強い反面、計算の作り方で誤解が起きやすいので、設計を丁寧にする価値があります。

基本は、要因ごとの影響度(Impact)を1つのメジャーで出し、プラスなら右、マイナスなら左に出す形です。

1) 影響度メジャーを作る

例として、実績と計画があるとします。

Actual = SUM('Fact'[ActualAmount])
Budget = SUM('Fact'[BudgetAmount])
Delta = [Actual] - [Budget]

ここで厄介なのは、「要因別のDelta」をどう定義するかです。単純にカテゴリ別のDeltaを並べるだけなら、カテゴリ(要因)を軸にして Delta を置けばそれで成立します。

ただし、現場でよくある「価格要因」「数量要因」「ミックス要因」のような分解は、業務定義が必要で、単純な差分では作れません。この場合は、要因の定義に沿った計算式(DAXまたは事前計算)が必要になります。

2) 左右に出すために符号で分ける

影響度を左右に出すために、プラス用・マイナス用のメジャーを分けます。

Impact_Pos = IF([Delta] > 0, [Delta], BLANK())
Impact_Neg = IF([Delta] < 0, [Delta], BLANK())

集合横棒グラフに Impact_Pos と Impact_Neg を同時に入れると、プラスが右、マイナスが左に出ます。マイナスは元々負なので、そのままで左側になります。

3) 並び替えは絶対値で

増減要因は「どれが効いているか」を見たいので、絶対値で並べ替えるのが定番です。

Impact_SortKey = ABS([Delta])

これで上位の効いている要因が上に並びます。

4) 上位Nに絞る(やりすぎると読めない)

要因が30個、50個あると読めません。上位Nに絞るか「その他」を作るのが現実的です。運用としては次のような考え方が多いです。

・影響度の絶対値が大きい上位10〜15を表示
・残りは「その他」にまとめる(必要なら)

Power BIで「その他」まで含めて厳密に作ると設計が増えますが、会議で読めることを優先するなら、まずは上位N表示で十分な場面が多いです。

見やすいトルネードにするための実務のコツ

トルネードチャートは「作れた」だけだと、実は読み手に優しくないことがあります。ここからは、現場で効くコツをまとめます。

・要因の粒度を上げすぎない
商品をSKUまで出すと、要因が増えすぎて読めません。カテゴリや大分類など、意思決定できる粒度に寄せると使われます。

・左右に出す値の意味を画面内に置く
左=最低見込み、右=最高見込み、など。タイトルや注記で説明できると誤解が減ります。

・軸の単位を揃える
金額と件数を同じトルネードに混ぜない。混ぜるなら率に揃える。これだけで説得力が変わります。

・データラベルは出しすぎない
全てにラベルを出すと詰まります。上位だけ、またはツールチップ中心にするのが見やすい場合があります。

・ツールチップで補助情報を出す
左右比較なら、Low、High、差分、差分率を出す
増減要因なら、影響度だけでなく、当月値、前年値、構成比などを出す
グラフ本体はシンプル、詳細はホバーで、が読みやすいです。

・スライサーで対象を絞ったときの体験を確認する
期間、部門、地域などを切り替えたときに、軸が飛びすぎないか、要因が入れ替わりすぎて会話にならないかを確認します。必要なら、対象範囲を固定し、別ページで詳細分析に逃がすのが安全です。

よくあるハマりどころと対処

トルネードチャートは、ハマり方がだいたい決まっています。代表例を挙げます。

・左側のラベルがマイナスになって混乱する
左側をマイナスにしている以上、ラベルもマイナスになります。ツールチップで正の値を出す、または表示形式を工夫して読み手が「左だからマイナス」と誤解しないようにします。

・並び替えが意図通りにならない
左右のどちらで並べ替えているかが原因になりやすいです。SortKeyを明確に作り、それで並べ替えます。

・左右の最大幅がバラバラで比較できない
軸固定が効きます。会議で使うなら、安定性のために固定する価値があります。

・要因が多すぎて読めない
上位Nに絞る、粒度を上げる、別ページに逃がす。ここを決めるだけで急に使えるようになります。

・DirectQueryで重い
トルネードは上位Nの計算や並べ替えで負荷が出やすいです。要因テーブルをディメンションとして持つ、不要列を減らす、集計済みを用意する、ページのビジュアル数を減らす、相互作用を整理する、といった基本対策が効きます。

運用で崩れないためのまとめ方

トルネードチャートは、一度作って終わりではなく「同じ型で増えていく」ことが多いです。運用が始まると、売上だけでなく、コスト、リードタイム、稼働率、品質指標などにも展開されます。そこで、最初から型を意識しておくと後が楽です。

・要因テーブルを整備して、表示名と並び順を管理できるようにする
・メジャー命名を揃える(LowBar、HighBar、SortKeyなど)
・ツールチップに出す項目をテンプレ化する
・上位Nの基準を揃える(10、15など)
・公式レポートに載せる場合は、軸固定と注記をセットにする

このあたりを揃えておくと、power bi トルネードチャートが単発の見た目だけのグラフではなく、意思決定に耐える部品になります。

まとめ

power bi トルネードチャートは、要因の優先度を一目で示せる強い見せ方です。ただし、作り方の本質は「左右をどう定義し、影響が大きい順に並べ、単位と軸を安定させるか」にあります。

標準ビジュアルでも、片側をマイナスにすることで左右に伸びる形は再現できます。2状態比較なら左右の値を分け、増減要因なら影響度の正負で分け、並び替えは絶対値で揃える。要因数は上位Nに絞って読みやすさを守る。これらを押さえると、トルネードチャートは見た目だけでなく、会議で会話が進むグラフになります。

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