Power BIで地図を使うと、売上や顧客、設備、問い合わせ、配送、事故などの情報が「どこで起きているか」を直感的に把握できるようになります。表や棒グラフだけでは見落としがちな偏りや空白地帯、密集エリア、商圏の重なりが一目で分かり、次の打ち手に直結します。ここでは、power bi 地図 プロットを目的に、データ準備から可視化、つまずきやすいポイント、運用で効くコツまでを、なるべく難しい言葉を避けて整理します。
【1】地図プロットで何が良くなるのか
地図に点やエリアを置けるようになると、判断のスピードが上がります。例えば店舗別売上を地図上に点で並べれば、好調エリアと不調エリアがすぐ分かります。問い合わせ件数を色の濃淡で表せば、発生が多い地域を見つけられます。配送遅延や故障発生を地図に重ねれば、特定地域に偏る原因を疑えます。重要なのは「地図を作る」ことではなく、「地図で意思決定できる状態にする」ことです。そのために必要なのが、位置情報の整備と、目的に合った地図ビジュアルの選択です。
【2】Power BIの地図ビジュアルをざっくり使い分ける
Power BIには地図系の表示方法が複数あります。やりたいことに合わせて選ぶと、power bi 地図 プロットが一気に安定します。
点を地図上に置きたい場合
店舗、顧客、拠点、設備、事故地点などを点で表現します。緯度経度を持っているなら最も確実です。住所しかない場合は地名の解釈に頼るため、曖昧さ対策が重要になります。
エリアを塗り分けたい場合
都道府県別、市区町村別、営業所の管轄別など、境界がある単位で色分けします。売上や人口、件数などを濃淡で表せるため、地域比較に向きます。住所の粒度を揃えることが肝になります。
独自の境界(営業エリア、学区、配送区など)を使いたい場合
既存の行政区分ではなく、自社定義のポリゴンで塗り分けたいときは、独自の境界データを地図に重ねられるタイプを選びます。ここは「地図の種類」よりも「境界データの持ち方」が勝負です。
【3】データ準備が9割:位置情報の作り方
地図がうまく出ない原因の大半は、可視化ではなくデータ側にあります。まずは位置情報をどの形で持つかを決めます。
方法A:緯度・経度で持つ
最もおすすめです。曖昧さがなく、同名の地名があっても迷いません。拠点マスタや店舗マスタに緯度経度を付けておけば、power bi 地図 プロットが再現性高く動きます。緯度と経度は数値として保持し、文字列になっていないかも確認します。小数点がカンマ区切りになっているなどの形式違いにも注意します。
方法B:住所で持つ
緯度経度が用意できないときに現実的な方法です。ただし、住所は書き方が揺れやすいので、揺れを減らす工夫が必要です。次の点を揃えるだけでも成功率が上がります。
都道府県、市区町村、町名までを列で分ける
全角半角、ハイフン表記、丁目表記を統一する
ビル名や部屋番号など、地図に不要な情報は別列へ分離する
方法C:地域コードで持つ
自治体コードや郵便番号、国際標準の地域コードなどで持つ方法です。これはエリア塗り分けとの相性がよく、表記揺れを避けられます。ただし、コードから地名へ変換するマスタが必要になることがあります。
【4】Power BIで地図に正しく認識させる設定
Power BIでは、列の意味を明示するだけで地図の精度が改善することがあります。特に住所ベースの場合は重要です。
データカテゴリを設定する
緯度の列は緯度、経度の列は経度としてカテゴリを設定します。住所列は住所、都道府県列は都道府県、国列は国といった具合に、列が何を表すのかをPower BIに伝えます。これだけで解釈のブレが減ります。
粒度を揃える
地図は同じ粒度で比較してこそ意味が出ます。ある行は「東京都」、別の行は「東京都新宿区」、さらに別の行は「東京都新宿区西新宿」のように混在すると、集計も表示も不安定になります。表示したい単位を先に決めて、全レコードをその単位に揃えます。
曖昧地名を避ける
「中央」「本町」「栄」など、全国に同名がある地名は誤認識の原因になります。都道府県や市区町村を別列で持ち、地図に渡す情報を組み合わせて曖昧さを減らします。たとえば市区町村だけでなく都道府県もセットにする、という発想です。
【5】基本の作り方:点をプロットする流れ
ここからは、実際に点を地図に置く基本の流れです。緯度経度があるケースが最も安定するため、その前提で説明します。
1 データを読み込む
店舗マスタや拠点マスタに、拠点名、緯度、経度、売上、担当チームなど必要項目を用意します。取引データとマスタが分かれている場合は、拠点IDで関連付けします。
2 地図ビジュアルを配置する
レポートキャンバスに地図系のビジュアルを追加します。
3 位置情報を割り当てる
緯度を緯度の枠へ、経度を経度の枠へ入れます。点のサイズに売上、色分けにカテゴリ(業態、担当エリア、重要度など)を入れると、ただの点ではなく「意味のある点」になります。
4 ツールチップを整える
マウスを置いたときに出る情報は、地図の理解度を大きく左右します。拠点名、売上、前年差、件数、達成率など、判断に必要な最小セットを入れます。情報を詰め込みすぎると読みづらくなるため、意思決定に直結する指標に絞ります。
5 フィルターとスライサーで探索できる形にする
期間、商品カテゴリ、担当者、拠点種別などで絞れるようにします。地図は探索型の可視化なので、切り口を変えながら眺められる状態にすると価値が上がります。
【6】見やすさを決めるポイント:サイズと色の設計
power bi 地図 プロットでよく起きる失敗は、点を置いたのに「何も分からない」状態です。原因は表現設計にあります。
点のサイズは対数的に見える
人間の目は面積の差を直感で正確に読み取りにくいので、極端に差がある指標をそのままサイズにすると、大きい点だけが目立って中小が消えます。必要なら、売上をそのまま使わず、レンジを区切ったランク値でサイズを作るなどの工夫をします。
色は意味を固定する
色分けは便利ですが、レポート内で色の意味が変わると混乱します。例えば赤を「不調」、青を「好調」に固定し、ページが変わっても同じルールで運用すると理解が早くなります。
【7】集計と階層:拡大縮小とドリルで迷子にならない
地図はズームすると情報量が変わります。そこで大切なのが、どの粒度で見せるかを設計することです。
都道府県→市区町村→拠点、のような階層を作る
最初は都道府県単位で傾向を見せ、気になる都道府県をクリックしたら市区町村、さらに拠点へ、と掘り下げられるようにします。探索の順番が決まると、ユーザーは迷いにくくなります。
点が密集する場合は集約する
点が多すぎると地図が塗りつぶされて読めません。その場合、初期表示は市区町村単位に集計して示し、拡大したときだけ拠点単位にする、というように段階を作ります。データ量の多いレポートでは、表示の軽さにも効きます。
【8】エリアを塗り分ける:地域別の比較を強くする
点プロットは「場所」、塗り分けは「地域比較」に強いです。都道府県別売上や市区町村別件数など、行政区分の粒度で比較したいなら、塗り分けが効きます。
粒度は必ず揃える
都道府県で塗るなら、全行が都道府県単位になっている必要があります。市区町村で塗るなら、市区町村単位です。混ざると色が期待通りにならなかったり、別の場所に吸い寄せられたりします。
塗り分けは指標を絞る
塗り分けに多くの指標を詰め込むと、解釈が難しくなります。売上、件数、成長率など、ページごとに主役を1つ決め、ツールチップで補足を見せる構成が分かりやすいです。
【9】独自エリアを使う:営業エリアや配送区を地図に乗せる
行政区分ではなく、自社の営業担当区や配送区で分析したい場面は多いです。この場合のポイントは、エリア境界を表せるデータを用意し、エリアIDで事実データと結び付けることです。
運用上のコツとしては、境界のメンテナンスを誰がいつ行うかを決めておくことです。営業エリアは組織変更で頻繁に変わり得ます。地図が正しくても、境界が古いと意思決定を誤ります。更新の責任者と更新頻度を明確にし、レポート内にも「エリア定義の基準日」を表示すると安心して使えます。
【10】応用:距離や到達圏の考え方を取り入れる
地図の強みは「近さ」や「広がり」を扱えることです。Power BI単体で高度な地理解析をすべて行うのは難しい場合がありますが、基本的な距離の概算や、近隣拠点の比較といった分析は発想次第で可能です。
例えば、顧客の緯度経度と最寄り店舗の緯度経度を持てるなら、距離に近い指標を作り、遠距離顧客が多いエリアを見つける、といった使い方ができます。配送や訪問の効率改善の入口として、地図プロットは十分役立ちます。
【11】よくあるつまずきと解決策
ここはpower bi 地図 プロットで頻出の問題を、原因と対策の形でまとめます。
地図上の場所がずれる、海の上に出る
原因は住所の曖昧さ、または同名地名の誤認識が多いです。都道府県や市区町村を別列で補強し、できれば緯度経度を用意します。表記揺れがある場合は、住所の正規化を行います。
同じ拠点が複数の点に分かれる、または集計が変になる
原因は拠点名の表記違い、余計な空白、全角半角などです。キーとなるID列で関連付けし、表示名は別列にするのが安全です。
点が表示されない
緯度経度が文字列になっている、欠損が混ざっている、0が入っている、列のカテゴリ設定がされていないなどが原因になりがちです。まずは緯度経度の型と欠損を確認します。
遅い、重い
地図は描画コストが高いので、点の数が多いと重くなります。初期表示を集計単位にする、フィルターで対象期間を絞る、必要列だけを読み込む、などで改善します。表示したい情報が「全部の点」なのか「傾向」なのかを見直すと、設計が軽くなります。
【12】伝わる地図にするための仕上げ
最後に、使われるレポートにするための仕上げの考え方です。
地図を主役にしすぎない
地図は目を引きますが、結論が分からないと眺めて終わります。地図の横に、上位エリアのランキング、前年差の要因分解、カテゴリ別構成などを置き、「地図で気づく」「隣で理由が分かる」の流れを作ると強いです。
凡例と単位を明確にする
色が何を表すのか、サイズが何を表すのか、数値の単位は何か。これが曖昧だと、見た目が良くても誤解が生まれます。特にサイズは、売上なのか件数なのか、期間はいつなのかを固定表示すると安心です。
目的別にページを分ける
拠点配置の確認、売上の偏り、成長率の偏り、クレームの多発地域、配送遅延の多発地域など、目的が違うものを1ページに詰め込むと分かりにくくなります。地図ページは1ページ1テーマにすると、説明なしでも伝わります。
まとめ
power bi 地図 プロットをうまく進めるコツは、地図の操作より先に、位置情報の持ち方と粒度を揃えることにあります。緯度経度があれば精度と再現性が上がり、住所しかなくても列の分割や表記統一、カテゴリ設定で安定します。点プロットは場所の把握、塗り分けは地域比較、独自エリアは自社定義の意思決定に強い、という使い分けを押さえると、地図が「見た目」から「判断の道具」になります。地図で気づき、隣の指標で理由が分かる構成まで仕上げれば、Power BIの地図は現場で使われるレベルに到達します。
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