Power BIでレポートを作っていると、「4月から表示したい」という要望はとてもよく出ます。日本の会計年度や評価期間が4月始まりのことが多く、1月始まりのカレンダー年で並べると、現場の感覚とズレるからです。たとえば、売上や予算、採用計画、工数、稼働率、勤怠などは、4月から3月までで見たい場面が多いはずです。
ただし「4月から表示」と一言で言っても、実際には複数の意味があります。ここを最初に整理しておくと、作り直しが減ります。
1つ目は、グラフの月並びを4月→5月→…→3月にしたい
2つ目は、表示する期間を4月1日からにしたい(今期だけ見たい)
3つ目は、4月からの累計や4月からの前年差を出したい
4つ目は、年度ラベルを「2025年度」のようにしたい
この記事では、上の4つをまとめて満たせるように、作り方を順番に説明します。難しい設定を増やすより、最初に土台を整えて、あとから応用を効かせる構成にします。
どの「4月から表示」かを先に決める
実務で混ざりやすいので、最初に具体例で考えるのがおすすめです。
例A:折れ線グラフの横軸を4月始まりにしたい
これは「並び順」の問題です。データ自体は1月から3月まで入っていても構いません。表示順だけ4月起点に整えます。
例B:今期(4月1日〜今日)だけを見たい
これは「フィルター」の問題です。月並びだけ直しても、去年や一昨年のデータが混ざっていると、見たいものになりません。
例C:4月からの累計を出したい
これは「メジャー」の問題です。表示期間は同じでも、累計計算を4月起点にしたい、という要望です。
例D:年度でスライサーを切り替えたい
これは「日付テーブルと年度列」の問題です。「2025年度」を選べば、2025/04〜2026/03が出る、という体験を作ります。
多くの場合、A〜Dを全部求められます。だからこそ、まず日付テーブルを整えるのが近道です。
4月始まりを安定させる鍵は日付テーブル
Power BIで「4月始まりの年度」「4月からの累計」「月並び替え」を安定して作るには、日付テーブルを用意して、そこに会計年度の列を持たせるのが定石です。ここが整うと、ビジュアルもメジャーも一気に楽になります。
ポイントは、売上明細などの事実テーブルの「日付列」と、日付テーブルの「日付列」をリレーションでつなぐことです。日付は分析の中心軸なので、ここが曖昧だと毎回苦労します。
日付テーブルを作る例(DAX)
次のように日付テーブルを作り、会計年度用の列を追加します。4月始まりの場合、4月を会計月1、3月を会計月12にしたいので、日付を3か月ずらして考えるのがコツです。
ここで重要なのは、FiscalYear と FiscalMonthNo が作れることです。FiscalMonthNoが4月=1、5月=2…3月=12になります。見た目の月名は「4月」などでOKですが、並び替えは数値列で管理します。
作成後は、日付テーブルを日付テーブルとしてマークし、事実テーブルの「日付」とリレーションを作ります。これで、年度切替や累計計算が安定します。
グラフの月並びを4月→3月にする
「4月から表示」を最も体感しやすいのがここです。横軸が4月始まりになるだけで、レポートの違和感が消えます。
やることはシンプルで、表示用の月名をFiscalMonthNoで並び替えます。
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軸に使う列は、日付テーブルのFiscalMonthName(例:4月、5月…)を使う
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その列をFiscalMonthNoで並び替える(列の並び替え機能)
もし月が「1月、10月、11月…」のようにおかしな並びになる場合は、ほぼ確実に「並び替え列」が設定されていない、または並び替え列が文字列になっているのが原因です。FiscalMonthNoは数値にしておきます。
さらに、年度をまたぐ表示が必要なら、FiscalYearとFiscalMonthNoを組み合わせた「年度月」列を作ると扱いやすくなります。
見せ方としては、軸はFiscalMonthName、スライサーでFiscalYearLabelを選ぶ、という構成が分かりやすいです。これで「2025年度を選ぶと、4月から3月までが順番に出る」状態になります。
表示期間を4月1日からにする(今期だけに絞る)
月並びを直しただけでは、過去の年度が混ざることがあります。今期だけ見たいなら、フィルター設計が必要です。
やり方は大きく2つあります。
方法1:年度スライサーで切り替える
日付テーブルにFiscalYearLabelがある前提で、スライサーにFiscalYearLabelを置きます。ユーザーに選んでもらう設計です。操作は増えますが、意図が分かりやすく、過去年度比較にも発展させやすいです。
方法2:当年度を自動で表示する(フィルターを自動化)
現場でよくあるのが「開いたら自動で今期になっていてほしい」です。これを実現するには、当年度判定用のメジャーを作り、各ビジュアルのフィルターに使うのが現実的です。
このメジャーをビジュアルフィルターに入れて、1だけ表示にします。これで、そのビジュアルは今期だけになります。ページ全体にまとめて効かせたい場合は、同じ考え方で適用範囲を揃えます。
注意点として、メジャーをフィルターに使う運用は、作る側の手間が少し増えます。ただ、年度が変わるたびに手作業でフィルターを直すよりは楽になりやすいです。
4月からの累計を出す(4月起点のYTD)
「4月からの累計」は、日付テーブルが整っていれば比較的簡単です。4月始まりの年度は、年度末が3月31日なので、累計関数に年度末を指定します。
売上のメジャーが [Sales] として、4月始まりの累計は次のように書けます。
これで、4月1日から当日までの累計になります。月次の棒グラフにこのメジャーを置けば、4月からの累計推移が出ます。
さらに、前年差も同様に作れます。
年度比較をするなら、FiscalYearLabelでフィルターしてから見る運用にすると、ユーザーの混乱が減ります。
「4月から3月」を年度として見せるときの表示のコツ
見える化で意外と効くのは、ラベルと並びです。人は見た目で判断するので、年度と月の表記が直感に合うだけでミスが減ります。
おすすめは次の形です。
・年度の表示は「2025年度」のようにする
・月の表示は「4月」「5月」などで良いが、並びはFiscalMonthNoで制御する
・四半期の表示は「Q1=4-6月、Q2=7-9月、Q3=10-12月、Q4=1-3月」にする
会計四半期を使う場合も、FiscalQuarterを作っておくと便利です。会議資料や経営指標は四半期単位で語られることが多いからです。
よくあるつまずきと直し方
4月から表示したつもりなのに、思った通りにならない場合は、だいたい原因が限られます。
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月の並びが直らない
原因:月名を文字列のまま並べている、または並び替え列が未設定
対処:FiscalMonthNameをFiscalMonthNoで並び替える。FiscalMonthNoは数値にする。 -
年度で切り替えたのに、1月〜3月が別年度に見える
原因:FiscalYearの計算がカレンダー年のまま
対処:EDATEで3か月ずらしてFiscalYearを作る。4月〜3月が同じ年度になるようにする。 -
4月からの累計が合わない
原因:日付テーブルが正しくリレーションされていない、または日付が欠けている
対処:日付テーブルを日付テーブルとしてマークし、事実テーブルの日付列と正しい関係を作る。日付テーブルは連続日付で用意する。 -
表示は4月からになったが、フィルターが意図通りに効かない
原因:複数の日付列があるのに、どれを基準にしているか曖昧
対処:基準となる日付列を決め、基本は1本をアクティブにする。別日付で集計したいメジャーだけ切り替える設計にする。 -
年度が自動で今期にならない
原因:フィルターが手動で固定されている
対処:当年度判定メジャーを作り、ビジュアルフィルターで1だけ表示にする。もしくは年度スライサーを使い、初期表示をブックマークで整える。
年度起点を整えると、レポート全体が作りやすくなる
4月から表示を実現する作業は、見た目だけの調整に見えますが、実際はモデルの軸を整える作業です。日付テーブルに会計年度の列が揃うと、次のような派生が簡単になります。
・予算と実績を年度で比較する
・今期の進捗率(累計/年間計画)を作る
・四半期ごとの着地見込みを出す
・期初からの累計と月次の前年差を並べる
・人事や工数など、年度運用の指標も同じ軸で統一する
最初に年度の土台を作っておくと、追加要望が来ても設計を崩さずに拡張できます。
まとめ
4月から表示を安定して実現するには、月の並び替えだけで済ませず、日付テーブルに会計年度の列を持たせて、年度・月・四半期を一貫したルールで扱うのが近道です。
月並びはFiscalMonthNoで制御する
年度はEDATEで3か月ずらしてFiscalYearを作る
累計は年度末を3月31日に指定して作る
今期だけ自動表示したいなら、当年度判定メジャーをフィルターに使う
この土台ができると、4月始まりのレポートでも違和感なく見られ、年度運用の指標が作りやすくなります。開いた瞬間から「今期が4月から並んでいる」状態を目指して、まずは日付テーブルの整備から着手するのがおすすめです。
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まとめ
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