power biで「同じグラフのまま、見たい指標だけを切り替えたい」「X軸(カテゴリ)を商品→店舗→担当者のように入れ替えたい」「ページを増やさずに比較観点を変えたい」と感じる場面は多いです。これを最短距離で実現できるのが、field parameters(フィールド パラメーター/フィールドパラメーター)です。
フィールド パラメーターを使うと、スライサー1つで「どの列を軸にするか」「どのメジャーを表示するか」を切り替えられます。ページ複製でレポートが増殖するのを防ぎつつ、利用者の自由度も上げられる。作る側の保守もラクになる。ここでは、指標の切替と軸の切替をできるだけ少ない手順で作り、実務で使える形に整えるところまでをまとめます。
1. ゴール:ページを増やさず、指標と軸をスライサーで切替できる状態にする
この記事で作る完成イメージは次の通りです。
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指標切替:売上/利益/粗利率/前年差 などを同じビジュアルで切り替え
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軸切替:日付(年・月)/商品カテゴリ/店舗/担当者 などを同じビジュアルで切り替え
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体裁:見出しやタイトルが選択内容に合わせて自動で変わる
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操作性:基本は単一選択(ユーザーが迷いにくい)
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保守性:指標や軸が増えても、パラメーターに追加するだけで拡張できる
2. 準備:最短で成功するために「切替対象」を先に揃える
フィールド パラメーターは「切り替えたいフィールド(列・メジャー)」を登録して使います。最短で作るコツは、先に切替対象の粒度と定義を揃えておくことです。
2-1. 指標はメジャーに寄せる
売上や利益などを列の集計で済ませるより、メジャーとして定義しておく方が、切替後の挙動が安定します。表示形式、計算条件、再利用性が揃いやすいからです。
例(よくある基本形):
売上 = SUM ( Sales[Amount] )
利益 = SUM ( Sales[Profit] )
粗利率 = DIVIDE ( [利益], [売上] )
前年差_売上 =
[売上]
- CALCULATE ( [売上], DATEADD ( 'Date'[Date], -1, YEAR ) )
この段階で「切替に入れたい指標はメジャー化」が基本方針になります。定義が明確で、レポート全体で同じ意味を保てます。
2-2. 軸はディメンション(カテゴリ列)を候補として揃える
軸切替は列を切り替えます。候補の例はこんな感じです。
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‘Date'[Year]、’Date'[Month]
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‘Product'[Category]、’Product'[Brand]
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‘Store'[Region]、’Store'[StoreName]
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‘Employee'[Owner]
ここで欲張りすぎると「選択肢が多くて迷う」レポートになります。まずは3〜6個くらいに絞って始めるのが現実的です。
3. 指標切替を最短で作る(メジャー用フィールド パラメーター)
ここが最短ルートです。Power BIの画面操作は次の流れになります。
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モデリング から 新しいパラメーター(フィールド)を選ぶ
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指標として切り替えたいメジャーを複数選択
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ページにスライサーを追加(チェック)
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作成
これだけで、指標切替用のパラメーターが作られ、スライサーまで置かれます。まずはここまで一気に作ってしまうのが早いです。
3-1. 何が作られているか(最低限の理解)
フィールド パラメーターを作ると、だいたい次が生成されます。
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パラメーター用のテーブル
表示名、参照するフィールド、並び順などを保持する -
そのテーブルの「パラメーター用フィールド」
ビジュアル側に入れて切替に使う
重要なのは「パラメーター用フィールド」を、グラフの値(Y軸)に入れることです。見た目は複数のメジャーが入っているようですが、選択で中身が入れ替わります。
3-2. ビジュアルに組み込む
例:月次推移(折れ線グラフ)で指標を切り替える
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X軸:’Date'[Month](軸切替もするなら後述の軸パラメーター)
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値:指標パラメーターのフィールド
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スライサー:指標パラメーター(単一選択推奨)
この時点で、売上→利益→粗利率…が同じ折れ線グラフで切り替わるようになります。ページ複製は不要です。
3-3. 単一選択にして迷いを減らす
複数選択できると、複数系列が同時に表示され、想定外の見た目になりがちです。基本は単一選択にして、誰が触っても同じ操作感にします。
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スライサーの設定で 単一選択 をオン
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必要に応じて 選択の強制 もオン(未選択で空白になるのを避ける)
4. 軸切替を最短で作る(列用フィールド パラメーター)
次はX軸や表の行を切り替えるパターンです。作り方は指標とほぼ同じで、今度は列を選びます。
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モデリング から 新しいパラメーター(フィールド)
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軸として切り替えたい列を複数選択
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ページにスライサーを追加(チェック)
-
作成
4-1. グラフのX軸に入れる
作成した「軸パラメーターのフィールド」を、棒グラフや折れ線グラフのX軸(カテゴリ)に入れます。すると、スライサーで「月→カテゴリ→店舗」のように軸が切り替わります。
ここで覚えておきたいのは、軸が切り替わると集計粒度も切り替わる点です。
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月で見れば12点(あるいは期間内の月数)
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店舗で見れば店舗数
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カテゴリで見ればカテゴリ数
利用者が見ている単位が変わるので、タイトルや補足が追従する設計が効いてきます(後述)。
4-2. マトリックスにも効く
軸切替は、マトリックスの行・列にも入れられます。
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行に軸パラメーターを入れる
行が月、行がカテゴリ、行が担当者…を切り替え可能 -
値に指標パラメーターを入れる
同じ表で「軸も指標も切替」ができる
この組み合わせは、探索用の万能な表としてかなり強いです。
5. 指標切替と軸切替を同時に使う(自由度を最大化する基本形)
最もよく使う構成は、次の組み合わせです。
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軸:軸パラメーター
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値:指標パラメーター
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フィルター:期間、地域、部門など通常のスライサー
これで、利用者は「どの単位で」「どの指標を」見るかを自分で決められます。ページは1つのまま、複数の分析観点を吸収できます。
ただし自由度が高いほど、使い方に迷う人も増えます。そこで次の調整が効果的です。
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スライサーは上段にまとめ、左から 軸→指標 の順に並べる
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軸は単一選択、指標も単一選択を基本にする
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デフォルト選択(初期値)を決め、開いた瞬間に意味のある絵を出す
6. 体裁を整える:タイトルを自動で切り替えて「今何を見ているか」を明確にする
軸や指標を切り替えると、利用者は「今のグラフ、何の単位で何を見てるんだっけ?」となりがちです。そこで、選択内容をタイトルに反映させます。これだけで使い勝手が一気に上がります。
6-1. 指標の選択名を取得するメジャー
パラメーターのテーブルには表示名の列があります。そこから選択値を取ります。
選択中の指標名 =
SELECTEDVALUE ( '指標パラメーター'[指標パラメーター] )
列名は作成時の名前で変わるので、実際のフィールド名に合わせてください。要点はSELECTEDVALUEで「1つ選ばれている前提」で名前を取ることです。
6-2. 軸の選択名を取得するメジャー
選択中の軸名 =
SELECTEDVALUE ( '軸パラメーター'[軸パラメーター] )
6-3. タイトル用メジャーを組み立てる
動的タイトル =
VAR axisName = [選択中の軸名]
VAR kpiName = [選択中の指標名]
RETURN
kpiName & "(" & axisName & "別)"
このメジャーをビジュアルのタイトルに設定すると、切替に合わせてタイトルが変わります。操作の迷いが減り、説明コストも下がります。
7. よくある落とし穴と対策(手戻りを減らす)
フィールド パラメーターは便利ですが、実務でつまずきやすい点があります。先に知っておくと、作り直しが減ります。
7-1. 粗利率など「割合系」で見た目が崩れる
売上は円、粗利率はパーセント。指標を切り替えた瞬間に軸の目盛りや表示単位が合わなくなることがあります。
対策としては次が定番です。
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ビジュアルの書式設定で表示単位の自動調整を見直す
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指標ごとに表示形式の差が大きいなら、指標をグルーピングしてページを分ける
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どうしても1つにまとめたい場合は、表(マトリックス)を併用して差を吸収する
7-2. 並び順が意図通りにならない
軸切替で月や店舗名を切り替えると、文字列順で並ぶなどの問題が起きます。
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月は、月番号列を用意して 列で並べ替え を設定
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カテゴリや店舗も、業務上の並び順があるなら並び順列を持たせる
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パラメーター自体の表示順も意識する(追加する順番がそのまま見た目になりやすい)
7-3. 複数選択で混乱する
軸を複数選択すると、1つのビジュアルで複数のカテゴリ軸が混在します。意図しない表示になりやすいので、基本は単一選択にします。
7-4. ドリルダウンや階層が使いにくい場面がある
日付階層のドリルダウンを多用している場合、軸切替と相性が悪い場面があります。対策は次のどちらかが分かりやすいです。
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候補に「年」「月」「日」を明示的に入れ、階層ではなく切替で運用する
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ドリルが必要なページは、軸固定の専用ビジュアルを用意する(万能化しすぎない)
8. 実務で強い運用パターン:1ページで探索、別ページで確定表示
フィールドパラメーターは探索に強い一方、利用者によっては自由度が高すぎて迷います。そこでおすすめの設計が、次の2段構えです。
8-1. 探索ページ(自由切替)
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軸パラメーター:月/カテゴリ/店舗
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指標パラメーター:売上/利益/粗利率/前年差
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期間、地域、商品フィルター
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大きめのメインビジュアル1つ+補助の表
ここで利用者に自由に試してもらいます。
8-2. 確定ページ(用途別に固定)
経営会議用は売上と前年差だけ、営業は店舗別、商品部はカテゴリ別…のように、用途ごとに固定したページを用意します。探索ページで見つけた観点を、確定ページで安定運用するイメージです。
この構成にすると、自由度と分かりやすさを両立しやすくなります。
9. 仕上げ:スライサーの見た目と操作性を整える
最後に、レポートとしての使い心地を上げるポイントです。
9-1. スライサーはボタン感覚に寄せる
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候補が少ないならタイル、候補が多いならドロップダウン
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軸と指標は近くに置き、視線移動を減らす
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ラベルは短くし、意味が伝わる名称に揃える(例:月次、店舗別、カテゴリ別)
9-2. 初期状態で「正しい答え」を出す
レポートを開いた瞬間に空白や変な表示だと、操作前に離脱します。
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単一選択+選択の強制で未選択状態を作らない
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代表的な軸(例:月)と代表的な指標(例:売上)をデフォルトにする
9-3. 単位と定義を迷わせない
切替をすると単位が変わるので、次のどれかは用意すると親切です。
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タイトルに単位を含める
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ツールチップに単位や定義を書く
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右上に小さな注記(例:粗利率はパーセント表示)
10. まとめ:フィールド パラメーターでページ削減と使いやすさを同時に叶える
Power BIで指標/軸の切替を最短で実現するなら、フィールド パラメーターが手数の少なさと効果の大きさの両方で有力です。
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指標切替:メジャーをパラメーター化し、値に入れる
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軸切替:列をパラメーター化し、X軸や行に入れる
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同時利用:1ページの中で観点と指標を自由に探索できる
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仕上げ:単一選択、動的タイトル、並び順で迷いを減らす
自由に切り替えられるレポートは、作った直後よりも「運用してから」価値が出ます。指標が増えたとき、軸候補が増えたときに、ページを増やさず拡張できるからです。フィールド パラメーターを標準装備にしておくと、power biのレポートが一段と長持ちし、更新も速くなります。
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