1. なぜ「Power BI 印刷」はこんなに悩ましいのか
Power BIは「画面でインタラクティブに触る」ことを前提に設計されているツールです。
そのため、いざ紙やPDFに「印刷」しようとすると、次のような悩みが頻発します。
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画面ではキレイなのに、印刷すると文字が小さすぎる
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A4に収まらず、右端が切れてしまう
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1ページにおさめたいのに、2ページ以上に分割されてしまう
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上司や顧客がPower BIを使えず、PDFを求められる
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自動で毎月PDFを送りたいのに、手作業での印刷が面倒
この記事では「power bi 印刷」というキーワードで悩んでいる方向けに、
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Power BIで使える印刷(PDF出力)方法の全体像
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デスクトップ版とサービス(Web版)の違い
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きれいに印刷するためのレポート設計のコツ
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限界を超えたいときの「ページネートレポート」「自動化」の考え方
までを、できるだけ専門用語を避けながらまとめていきます。
2. Power BIで「印刷」に相当する主な方法
Power BIには、Excelのような「印刷」ボタンはほとんど出てきません。
代わりに、以下のような手段を組み合わせて使います。
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PDFへのエクスポート(Export to PDF)
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ブラウザの「印刷」機能でPDF化
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PowerPoint / 画像出力からの印刷
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(上級編)ページネートレポートで本格的な印刷レイアウト
1つずつ整理していきましょう。
2-1. Power BI DesktopからPDFに出力する
もっともシンプルなのは、Power BI Desktopから直接PDFを出力する方法です。
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Power BI Desktopで対象のPBIXファイルを開く
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上部メニューの [ファイル] → [エクスポート] → [PDF にエクスポート] をクリック
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しばらく待つと、すべての「表示されているページ」が1つのPDFとして出力される
ここで押さえておきたいポイントは次の通りです。
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印刷されるのは可視ページのみ(非表示ページは出力されない)
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各ページは「画面の見た目」がそのままスナップショットとしてPDF化される
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細かいページ余白やヘッダー/フッターなどの設定はほぼできない
つまり、Power BI DesktopのPDF出力は「画面キャプチャをページごとに並べたPDF」と考えるとイメージしやすいです。
2-2. Power BI Service(Web版)からPDFにエクスポートする
レポートをPower BI Service(app.powerbi.com)に発行している場合は、WebからPDF出力も可能です。Microsoft Learn
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Power BI Serviceで対象レポートを開く
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上部メニューの [エクスポート] → [PDF] をクリック
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ダイアログで以下を選択
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現在の状態(フィルター・スライサーを反映)
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既定の状態(レポート作成者が保存した元の状態)
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隠しページを含めるかどうか
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現在のページだけ出すか、全ページ出すか
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[エクスポート] をクリックすると、処理が完了したタイミングでPDFがダウンロードされる
この方法のメリットは、
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ブラウザ上でフィルターを切り替えた状態をそのままPDF化しやすい
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「現在のページだけ」「隠しページも含めて」など、出力範囲を柔軟に選べる
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クラウド環境なので、どの端末からでも同じ方法で利用できる
といった点です。
一方で、
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テナント管理者が「エクスポートを禁止」していると使えない
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一部のカスタムビジュアルはPDF出力に対応しておらず、灰色のボックスになることがある
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50ページを超える大規模レポートや非常に重いレポートは出力できない場合がある
などの制約も存在します。
2-3. 「このページを印刷」でA4サイズに合わせる
「このページだけA4縦で印刷したい」「紙で1枚に収めたい」といったケースでは、ブラウザの印刷機能を使う方法もよく使われます。SPGuides
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Power BI Serviceで対象のレポートページを開く
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右上の […] → [このページを印刷] もしくは [ファイル] → [ページの印刷] を選択
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ブラウザ(Edge / Chromeなど)の印刷ダイアログが開く
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宛先を [PDF に保存](または「Microsoft Print to PDF」) に変更
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「詳細設定」や「その他の設定」で
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用紙サイズ(A4、A3など)
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余白
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縮尺(100%/ページに合わせる)
を調整して、プレビューを確認しながら出力
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この方法は1ページ単位の細かい調整がしやすい一方で、
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レポート全体をまとめて印刷するのには向かない
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ブラウザごとの挙動差があり、レイアウトが微妙に変わることがある
といった特徴もあります。
3. Power BI印刷でよくあるつまずきと対処法
ここからは、実際の現場でよく相談される「Power BI 印刷」の悩みと、その回避策をまとめます。
3-1. 右端や下部が途中で切れてしまう
よくある原因は次の2つです。
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レポートページのサイズがA4比率になっていない
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ビジュアルをギリギリまで詰め込んでいて、印刷時に縮小される
対処のポイントは、
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ページサイズを「16:9」などのままにせず、A4に近い比率(縦長なら「縦向き 4:3」に近い比率)に揃える
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上下左右に「余白」を意識してビジュアルを配置する
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特に右端・下端には、画面上で見るよりも少し広めに余白を取る
印刷を前提にするレポートは、「紙のデザイン」と同じ発想で余白を残すと安定します。Senturus+1
3-2. 文字が小さくて読めない
画面上だと問題なくても、印刷すると一気に読みにくくなるパターンです。
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フォントサイズを最低でも10pt〜11pt以上にする
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1ページに詰め込み過ぎず、サマリー用・詳細用などページを分ける
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グラフと表を同じページに無理やり重ねない
といった「情報量を削る勇気」が重要になります。
どうしても情報量を減らしたくない場合は、
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サマリーレポートをPower BIで印刷
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詳細データはExcelにエクスポートして別添
のように役割分担するのも現実的です。
3-3. 長い表を印刷したいのに途中で途切れる
Power BIの標準レポートは、あくまで「画面表示」が主役です。
そのため、縦に長い表はスクロールで見る前提になっており、PDF出力では表示されている部分だけが印刷されます。Reddit+1
根本的な解決策は次の2つです。
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ページネートレポート(Paginated Report)を使う
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Power BIでは「集約された表」だけに絞り、詳細は別レポートやExcelに任せる
ページネートレポートは、いわゆる「帳票(レポート帳票)」専用の機能で、
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改ページ位置
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各ページのヘッダー/フッター
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テーブル行の繰り返し
などを細かく制御できます。印刷にこだわる現場では、最終的にここに行き着くことが多いです。
ただし、
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専用ツール(Power BI Report Builder)で設計する
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基本的にPower BI Premium/Premium Per User (PPU) ライセンスが必要
といったハードルもあるため、「本当に紙が主役の業務か?」を見極めた上で検討するのがおすすめです。
3-4. 背景画像やダークテーマがうまく印刷されない
Power BIのPDF出力では、
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ページの「壁紙」的な背景はPDFに含まれない
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背景画像は、可視領域にトリミングされる
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黒い背景に白文字、というデザインはPDFでは読みづらくなりがち
といった仕様・制限があります。
印刷前提のレポートでは、
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壁紙や全面背景画像は極力使わない
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白または薄い背景に濃い文字色(黒/濃いグレー)を使う
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強調したい数字だけ色を付ける
といった「紙媒体っぽい」デザインに寄せると、PDFや印刷物でも見やすくなります。
4. Power BI印刷の「限界」を超える3つのアプローチ
ここまでは、Power BI標準機能の範囲での印刷・PDF出力について説明しました。
しかし、現場では次のような要望もよく出てきます。
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全店舗・全拠点分のPDFを自動で出したい
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レポートを毎月自動でPDF化してメール送信したい
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顧客ごとにフィルターを変えてPDFを量産したい
これらは、標準の「エクスポート」だけでは現実的ではありません。
そこで、次の3つのアプローチを組み合わせて解決していきます。
4-1. Power AutomateでPDF出力を自動化する
Microsoft 365をお使いであれば、Power Automateを使った自動化が有力な選択肢です。
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「Power BIレポートをファイルにエクスポート」アクションを使ってPDFを生成
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スケジュールトリガーで、毎朝/毎月末にレポートを自動出力
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出力したPDFをSharePointやOneDriveに保存し、メールで配信
といったフローを組むことで、「人手で毎回印刷ボタンを押す」作業から解放されます。
4-2. 専用ツールやSaaSでスケジューリングする
より高度な配信要件(多拠点向けの大量PDF、細かい権限管理など)がある場合は、
Power BIレポートをスケジュール配信する専用ツールを検討することもあります。
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時間やフィルター条件ごとにPDFを自動生成
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特定のグループごとに配信先を制御
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PDF以外にExcel/PowerPointなども同時出力
といった機能を持つツールもあり、
「Power BI印刷の運用」をまるごと自動化するイメージです。
4-3. 思い切って「紙前提の業務」を見直す
少し踏み込んだ話になりますが、
Power BIの価値は本来「リアルタイム」「インタラクティブ」にあります。
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その場でフィルターを変えながら議論する
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ドリルダウンしながら原因を深掘りする
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モバイルから最新の数値を確認する
といった使い方こそが得意分野です。
もし、
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「紙での配布」が主目的になっている
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毎月、誰かがPower BIからPDFを出すことが仕事になってしまっている
としたら、思い切って業務フロー自体を見直すことで、
Power BIの価値をもっと引き出せる可能性があります。
5. こんなとき、どうする? よくあるシナリオ別の考え方
最後に、「Power BI 印刷」でよくある具体的なパターンと、そのときのおすすめ方針をまとめます。
シナリオ1:会議資料としてA4横1枚のレポートを毎週印刷したい
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ページサイズをA4横を意識したレイアウトにする
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グラフは2〜3個に絞り、タイトルと要約コメントをしっかり書く
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Power BI Serviceの「PDFエクスポート」または「このページを印刷」を利用
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将来的にはPower Automateで自動PDF化+SharePoint保存を検討
シナリオ2:全店舗分の売上レポートPDFを店舗ごとに出したい
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レポートに「店舗」スライサーを用意
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手作業の場合:店舗ごとにフィルターを切り替えてPDF出力(現実的には数十店舗まで)
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店舗数が多い場合:
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Power Automateで「店舗ごとにフィルターを変えてPDF出力」するフローを作成
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もしくはページネートレポート+配信ツールの導入を検討
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シナリオ3:請求書や納品書のような帳票をPower BIで出したい
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標準レポートでの再現はかなり厳しい
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基本的にはページネートレポート(Power BI Report Builder)を利用
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レイアウトにこだわる場合は、既存の帳票ツールとの役割分担も検討
6. まとめ:Power BI印刷は「割り切り」と「設計」がカギ
ここまで、Power BIの「印刷」「PDF出力」に関する考え方と具体的な方法を紹介してきました。
ポイントを整理すると、
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Power BIの印刷は、あくまで「画面のスナップショット」が基本
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A4など紙のサイズを意識したページ設計と余白がとても重要
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長い表や細かいレイアウトが必要なら、ページネートレポートの検討が必須
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毎月・大量・店舗ごとなどの繰り返し作業は、自動化(Power Automate や専用ツール)が効果的
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そもそも「紙ありき」の業務を見直すことで、Power BIの価値を最大化できる
Power BIの「power bi 印刷」をうまくコントロールできるようになると、
レポートの活用範囲が一気に広がり、社内外への共有もぐっとスムーズになります。
7. Power BIの印刷・PDF出力でお困りなら、弊社にご相談ください
「理屈はわかったけれど、自社のレポートにどう当てはめればいいかわからない」
「そもそもレポートの設計から見直したい」
「印刷前提の帳票と、Power BIのダッシュボードをどう分ければいい?」
と感じられた場合は、外部の専門家に一度相談してしまうのも近道です。
弊社では、
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Power BIレポートの設計レビュー(印刷前提/画面前提の整理)
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A4・帳票対応を意識したレイアウト設計・ページ分割の提案
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Power BI ServiceやPower Automateを使ったPDF自動出力フローの構築
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ページネートレポート(Report Builder)や既存帳票ツールとの組み合わせ設計
-
社内メンバー向けの「Power BI印刷・レポート運用」トレーニング
といった支援を提供しています。
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