1. はじめに|なぜ「0の非表示」が必要なのか?
Tableauでダッシュボードやグラフを作成していると、値が「0」のデータが邪魔に見えることがあります。
たとえば、以下のような状況です:
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ラベルに「0」が大量に表示されて視認性が落ちる
-
売上がない商品でも項目がグラフに出てしまい、スペースの無駄
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目立たせたい値に対して0がノイズになってしまう
こうした場合に有効なのが、「0の値を非表示にする設定」です。
2. 0を非表示にする方法の種類
Tableauでは、「0を非表示にする方法」が複数あります。目的によって方法を使い分けましょう。
対象 | 方法 |
---|---|
表全体から非表示にする | フィルターで0を除外 |
ラベルだけ0を消す | IF文で表示制御 |
棒グラフを非表示 | 値の存在条件付きで描画制御 |
ツールチップから0を除く | ツールチップの設定で条件制御 |
3. 方法①:フィルターで0の行をまるごと除外
もっとも基本的な方法が「フィルターを使って0の行を非表示にする」というやり方です。
✅ 具体的な手順
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シート上で「分析対象の数値フィールド」(例:売上)を右クリック
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「フィルター」を選択
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「範囲」タブ →
0より大きい
に設定 -
適用すると、売上が0の行はすべて非表示になります
⚠️ 注意点
この方法は、該当行全体が削除されるため、「グラフの形状が変わる」「集計値が減る」可能性があります。
そのため、「0をラベルなどからだけ除外したい」場合には別の方法を選びましょう。
4. 方法②:計算フィールドで「0だけ表示しない」ようにする
表示はしたいが、0はラベルに出したくないという場合は、IF関数を使った計算フィールドが便利です。
✅ 計算式の例
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このフィールドをラベルに適用すれば、0のときはラベル非表示になります
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グラフ自体はそのままで、見た目のノイズだけを除去できます
✅ 応用:テキスト表示だけをカスタム
テキストテーブルやツリーマップなどでも、同様にこのフィールドを使えば「0表示を回避」できます。
5. 方法③:表示色を変えて目立たせない or 白にする
どうしてもデータとして0が必要だけど、ユーザーに見せたくないときは、「色指定」で目立たなくする方法もあります。
✅ やり方
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「色」マークに値をドロップ
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カラースケールを編集
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0のときだけ「白色」または背景色と同じ色に設定する
⚠️ この方法の注意点
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データ上は存在しているので、ツールチップなどでは表示される可能性がある
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「気づかれないように非表示に近づける」だけで、完全な非表示ではない
6. 方法④:棒グラフそのものを消す(ゼロ棒の非表示)
特に「棒グラフ」でよく見られるのが、高さが0の棒(=線)が残ることでの視認性低下です。
✅ 解決法:IFで制御付き表示
棒グラフ自体を出す/出さないをコントロールしたい場合は、以下のような条件付き表示の計算フィールドを作成します。
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このフィールドを**「行」または「列」シェルフ**に配置すれば、0の棒そのものが表示されなくなります
-
ラベルも含め、グラフ全体から“0”が消える
7. ツールチップから0を非表示にするには?
グラフやラベル上では0を非表示にできたとしても、ツールチップに値が出てしまうことがあります。特に、マウスホバーで表示されるポップアップに「売上:0円」と出てしまうと、視覚的に気になりますよね。
✅ 解決方法:ツールチップ用の計算フィールドを別途作成
このフィールドを「ツールチップ」にドラッグすれば、0の時には何も表示されず、見た目にも自然に非表示になります。
✅ ポイント
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""
(空文字)を返すことで、0の時は何も出力されません -
STR()
を使って数値を文字列に変換することで、テキスト連結が可能になります
8. 0を非表示にしたときに起こる問題と対処法
❗ データが消えすぎてしまう
たとえば、月ごとの売上推移を表示したグラフで「売上が0の月」を非表示にしてしまうと、軸が飛んで見えることがあります。
✅ 対処方法:軸や日付は表示させたまま、0だけ除外
この場合は、次のようなアプローチを取るとスムーズです:
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すべての月の軸を表示(例:連続日付軸)
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0の値はラベルやバーで非表示にする(
IF
を使ってNULLを返す)
これで、「0の値は非表示だけど、月の存在は消えない」状態になります。
❗ 並び順や表計算のエラー
-
LOOKUP()
やINDEX()
などの表計算を使っている場合、0を非表示にすることで行数や順番がずれて意図しない結果になることがあります。
✅ 解決策:非表示にするが、行は残す
-
IF
でNULL
を返して、計算から除外するだけでデータは残す -
表計算の「パーティション」と「方向」設定を見直すことで、計算ずれを防げます
9. ダッシュボードでの「0非表示」活用テクニック
ダッシュボードにおいても、0のデータが可視化を邪魔してしまうケースはよくあります。以下のようなシーンで「0非表示」が活きます。
📊 活用例①:売上があった商品だけをハイライト表示
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売上が0の商品はグレー、売上がある商品は色つき
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使う式:
-
これを「色」シェルフに適用すれば、0の項目が一目でわかりますし、目立たせずにもできます
📈 活用例②:0件を除外した棒グラフ+0件を注記した表の組み合わせ
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主グラフでは0を除外してスッキリ見せる
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サブグラフでは「該当なし」の項目を注記的に表示する
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Tableauのアクションフィルターや複数シートの連動を活用
📉 活用例③:エラーデータ(0)の存在を別シートで可視化
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0が多い=異常という判断軸を持つ場合
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「0データカウント表」や「エラー件数トレンド」などを別途用意し、分析と品質管理を分ける
10. まとめ|Tableauで「0の値」を賢く非表示にしよう
Tableauで「0の値」を非表示にすることは、ただの見た目の工夫ではありません。ユーザー体験の向上や分析の焦点の明確化につながる重要なテクニックです。
✅ 状況別のおすすめ対処法まとめ
状況 | 対処法 |
---|---|
表やグラフから完全に消したい | 数値フィルターで 0 を除外 |
棒グラフやラベルだけ非表示にしたい | IF式でNULLを返す計算フィールドを使用 |
ツールチップにだけ表示させたくない | ツールチップ用のIF式を作る |
ダッシュボード内で強調・非強調を分けたい | 色や表示切替の工夫で視認性を上げる |
✅ 最後に:0は悪ではない、でも「見せ方」が大事
「0」という値自体が問題なのではなく、それが視認性を下げたり誤解を生む場合があるということがポイントです。
Tableauは強力な可視化ツールだからこそ、こうした細かい表示の工夫が、データストーリーの質を左右します。
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