売上や在庫などの指標を縦棒グラフで表示しつつ、利益率や成約率などの比率を折れ線で重ねて示したいケースは多々あります。Power BIでは、標準ビジュアルとして「折れ線グラフおよび積み上げ縦棒グラフ（Line and stacked column chart）」を利用することで、異なる性質の指標を1つのビジュアル上で見やすく可視化可能です。本記事では、その設定方法や活用ポイントをわかりやすく解説します。
1. 「折れ線グラフおよび積み上げ縦棒グラフ」とは？
名称の通り、積み上げ縦棒グラフの上に折れ線を重ね合わせたビジュアルです。下段の棒グラフ部分は、複数カテゴリの合計値や構成比を“積み上げ”で示す一方、折れ線部分では別の指標や比率などを表示することができます。
1-1. どんなときに使う？
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複数カテゴリを集計しつつ、合計値とは別の指標をラインで比較したい
例：製品カテゴリごとの売上を積み上げ棒で表示しながら、総売上に対する利益率を折れ線で示す -
数量と割合を同時に把握したい
例：在庫数量（棒）と欠品率（折れ線） -
多次元のデータをコンパクトにまとめてプレゼンテーションしたい場合
2. 基本的な設定手順
2-1. ビジュアルを選択
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Power BI Desktopの[レポート ビュー]を開く。
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「折れ線グラフおよび積み上げ縦棒グラフ」のアイコンをクリックし、キャンバスに挿入。
2-2. フィールドの割り当て
右側のフィールドペインから、ドラッグ＆ドロップで以下の欄に配置します。
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軸（X軸）
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日付、カテゴリ、または時系列を置くことが多いです。
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列の値（Column values）
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積み上げ縦棒として表示したい数値列を配置。
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たとえば、各製品カテゴリの売上金額など、複数カテゴリーの値を「積み上げ」として可視化します。
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凡例（Column series）
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棒の積み上げを構成するカテゴリ（例：商品カテゴリ名、地域）を指定すると、各カテゴリごとに色分けされた棒が積み上げ表示されます。
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ラインの値（Line values）
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折れ線として表示したい指標（例：利益率、在庫回転率など）を配置。
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ポイント：棒グラフ部分は「合計（Sum）」などの集計値を扱うのが一般的。折れ線部分は割合や平均値など、別の視点で指標を見る場合に使われます。
3. 見やすくするためのカスタマイズ
3-1. 2つのY軸を活用
「折れ線グラフおよび積み上げ縦棒グラフ」は、棒グラフ（主軸）と折れ線（副軸）でそれぞれの値を示すのが基本設定です。
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主軸（棒グラフ）：在庫数量や売上金額など大きなスケール
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副軸（折れ線）：パーセンテージや小さいスケールの指標
これによって、数値レンジが大きく異なる指標でも、お互いの変動をわかりやすく比較できます。
3-2. カラーと透明度の設定
積み上げ棒は複数のカテゴリが重なるため、一目で区別できるカラーを設定すると良いでしょう。折れ線はアクセントになる色を選び、棒と線が重なって見づらくならないように調整します。
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「形式」タブ → 「データ色（Data colors）」
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ライン部分については、「ラインの色」や「マーカー」なども設定可能
3-3. データラベルとツールチップ
積み上げ部分に対してはラベルをつけすぎると混雑しがちなので、必要に応じてオフにするか、集計値だけ表示するなど、適度なラベル表示に留めるのがベストです。細かい情報はツールチップで補完しましょう。
3-4. フィルターやスライサーを併用
カテゴリ数が多い場合は、スライサーで主要な製品カテゴリーだけを選択して表示したり、期間フィルターで特定の期間に絞ったりすることで、視覚的な負荷を軽減できます。
4. 活用シナリオ例
4-1. 売上の積み上げと利益率の推移
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棒グラフ：各地域の売上を積み上げにして、地域ごとの構成比や合計売上を表示
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折れ線：利益率や粗利率を折れ線で表し、売上が増加しても利益率が下がっていないかをチェック
4-2. 在庫数量と欠品率の可視化
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棒グラフ：カテゴリー別の在庫数量を積み上げ
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折れ線：欠品率（%）を折れ線で示し、在庫量との関連性や傾向を分析
4-3. Webアクセス解析（PVやセッション vs. コンバージョン率）
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棒グラフ：日別のPV（積み上げる場合はデバイスやチャネル別など）
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折れ線：コンバージョン率（%）をラインで合わせて表示し、流入の質や施策の効果を評価
5. 注意点やトラブルシューティング
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指標の範囲が大きく異なると、ラインがフラットに見える
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副軸を使用する設定をオンにし、数値レンジをそれぞれ最適化する。
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積み上げカテゴリが多すぎて色分けがごちゃごちゃに
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特定の上位カテゴリだけに絞る、または“その他”にまとめる工夫も検討。
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折れ線と棒のデータ更新頻度が異なる
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同じ日次データなのか、週次・月次の集計なのかを揃えておかないと、ずれや空欄が生まれてグラフが崩れる場合があります。クエリ段階で粒度を統一しましょう。
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ツールチップやドリルダウンで詳細を補足
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積み上げ棒が多いと、「この色って何だっけ？」となりがち。ツールチップにカテゴリや数値の説明を入れておくと、視認性が向上します。
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