「どの店舗が“売上も利益率も高い”のか」「満足度は高いのに継続率が伸びないお客さまは誰か」。こうした“関係の整理”は、power bi 4 象限がもっとも得意とする表現です。X軸とY軸に指標を置き、縦横の境界線で四分割。第1象限(右上)=「高×高」を瞬時に見つけ、対策の優先度を決められます。
この記事は、分かりやすさ最優先で、power bi 4 象限を「迷わず・正しく・再利用できる形」で作るための完全ガイドです。
最短の作り方、動的な境界線の考え方、色分けや注釈のコツ、業務での使いどころ、失敗しにくいチェックリストまで、手順ベースで解説します。
1. ゴールの見取り図(先に全体像)
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可視化:散布図にX=売上、Y=利益率(例)。マーカーは「対象(店舗・顧客・製品など)」単位。
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区切り:縦・横のしきい値(平均・中央値・目標値・パラメーター入力)で4分割。
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色分け:象限ごとに色を固定(右上=緑/青、右下=橙、左上=藍、左下=灰など)。
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相互作用:象限ラベルやスライサーで絞り込むと他のビジュアルも連動。
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メタ情報:象限ごとの件数・合計・割合をカード/マトリクスに表示。
この“型”を一度作っておけば、どんなデータでもpower bi 4 象限を再利用できます。
2. データの前提(最小セット)
例として Facts
テーブルに以下の列があるとします。
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ID
(対象の一意キー:店舗ID・顧客IDなど) -
X値
(売上・アクティブ率など、横軸に置く数値) -
Y値
(利益率・満足度など、縦軸に置く数値) -
※日付・カテゴリがあるならスライサー用に保持
X・Yは列でもメジャーでも構いません。集計が必要ならメジャー化しておくと後々便利です。
X メジャー = SUM ( Facts[X値] )
Y メジャー = DIVIDE( SUM(Facts[利益]), SUM(Facts[売上]) ) -- 例:利益率
3. しきい値(境界線)の決め方:4通り
power bi 4 象限の肝は「どこで分けるか」。代表的なのは次の4つです。
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固定値:目標(例:売上=1000、利益率=20%)。
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平均:現状平均で分割(チームごとの相対評価に向く)。
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中央値:外れ値の影響を抑えて分割。
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What‑if パラメーター:スライサーで境界を動かし、会議で対話的に検討。
平均で区切るメジャー例
X 境界(平均) =
VAR currentSet = VALUES ( Facts[ID] ) -- 散布図にプロットされる集合
RETURN AVERAGEX ( currentSet, [X メジャー] )
Y 境界(平均) =
VAR currentSet = VALUES ( Facts[ID] )
RETURN AVERAGEX ( currentSet, [Y メジャー] )
ポイント
VALUES(Facts[ID])
を使うと、スライサーで絞った現在の集合の平均で境界が決まります。目標で分けるなら固定値のメジャー(例:
X 境界 = 1000
、Y 境界 = 0.2
)に置き換えます。What‑if パラメーターを使うと、スライサーで境界を調整できます(
SELECTEDVALUE
を返すメジャーが自動生成されます)。
4. 象限ラベルを作る(分類ロジック)
色分けや件数集計の軸として“象限”を返すメジャーを作ります。
(固定境界でも平均境界でも同じロジックで動きます)
象限(メジャー) =
VAR x = [X メジャー]
VAR y = [Y メジャー]
VAR xb = [X 境界(平均)] -- 目標/パラメーターなら該当メジャー名に差し替え
VAR yb = [Y 境界(平均)]
RETURN
SWITCH(
TRUE(),
x >= xb && y >= yb, "第1象限(高×高)",
x < xb && y >= yb, "第2象限(低×高)",
x < xb && y < yb, "第3象限(低×低)",
"第4象限(高×低)"
)
注意点
**凡例にメジャーは直接置けません。**後述の「条件付き書式で色を返す」方法が実務的です。
象限を列として持ちたい場合は、固定境界なら計算列でOK。ただし計算列はスライサーに応じて動的に変わらない点に注意。
5. 散布図を作る(power bi 4 象限の土台)
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散布図ビジュアルを追加
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X軸に
[X メジャー]
、Y軸に[Y メジャー]
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**詳細(Details)**に
Facts[ID]
(または表示に使う名称列) -
サイズは未設定でOK(“泡”にしないのが読みやすい)
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ツールヒントに
[象限(メジャー)]
や主要指標を配置
縦横の境界線を引く
-
散布図の**分析(Analytics)**ペインから X軸の定数線 / Y軸の定数線 を追加し、しきい値を入力。
-
しきい値を頻繁に変える運用なら、What‑if パラメーターの値をカードで表示し、会議前に定数線へ転記するとミスが減ります。
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カスタムビジュアルを使わない前提では、縦横の線は手動入力がもっとも安定します。
補足:動的に線を動かしたい場合は、AppSourceの四象限系カスタムを検討する方法もあります(標準機能だけで完結させたい運用なら上記の運用で十分です)。
6. 色分け(条件付き書式)で“4 象限”を一目で
凡例に列が置けない場合でも、データ色の条件付き書式で象限ごとの色を制御できます。
色を返すメジャーを作り、散布図の「データ色 → fx(条件付き書式)」で“フィールドの値”として指定します。
象限カラー =
VAR q = [象限(メジャー)]
RETURN
SWITCH(
q,
"第1象限(高×高)", "#2E7D32", -- 緑
"第2象限(低×高)", "#1976D2", -- 青
"第3象限(低×低)", "#9E9E9E", -- 灰
"#E65100" -- 橙(第4象限)
)
ヒント
会社のブランドカラーに合わせて置き換えると、power bi 4 象限がぐっと洗練されます。
色の意味(例:緑=重点維持、橙=改善候補)は凡例テキストか注釈で明記しましょう。
7. 象限ごとの件数・割合・合計を表示(サマリーパネル)
会議で「第1象限が何件で、全体の何%か」をすぐ言えると意思決定が進みます。
ディスコネクト表(独立テーブル)で4行の象限ラベルを用意し、マトリクス+メジャーで集計しましょう。
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「データの入力」で
QuadrantLUT[象限]
(第1〜第4)を作成。 -
以下のメジャーを作成。
対象件数 =
VAR sel = SELECTEDVALUE ( QuadrantLUT[象限] )
RETURN
CALCULATE (
DISTINCTCOUNT ( Facts[ID] ),
FILTER ( ALLSELECTED ( Facts ), [象限(メジャー)] = sel )
)
対象割合 =
DIVIDE ( [対象件数], CALCULATE ( DISTINCTCOUNT ( Facts[ID] ), ALLSELECTED ( Facts ) ) )
X 平均_象限別 =
VAR sel = SELECTEDVALUE ( QuadrantLUT[象限] )
RETURN
CALCULATE ( AVERAGEX ( VALUES(Facts[ID]), [X メジャー] ),
FILTER ( ALLSELECTED(Facts), [象限(メジャー)] = sel )
)
-
マトリクスの行に
QuadrantLUT[象限]
、値に上記メジャーを配置。
これで、power bi 4 象限の“概要”が一瞬で把握できます。
8. What‑if パラメーターで“会議向け”にする
しきい値を変えながら議論するなら、What‑if パラメーターが便利です。
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モデリング → 新しいパラメーター(数値)
-
例:
X 境界(Param)
:最小0、最大2000、増分50、既定1000 -
同様に
Y 境界(Param)
も作る
-
-
自動生成されるメジャー(
X 境界(Param) Value
など)を、分類メジャーのxb
/yb
に差し替える -
スライサーに2つのパラメーターを配置
注意:標準の散布図の定数線は手動入力です。スライサーと線を完全連動させたい運用は、カスタムビジュアル導入や、線の値を運用ルールで“読み替える”方法を選びましょう。
実務では「パラメーターで値を決める → その値をカードに出す → 定数線へ入力」が最も簡単で確実です。
9. レイアウト&相互作用のコツ(見やすさ最優先)
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レイアウト:左上に散布図(主役)、右側にサマリー、下段に明細表。
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ラベル:点のラベルは最小限。外れ値だけ
データラベル=オン
にするか、注釈テキストで指し示すと読みやすい。 -
相互作用:散布図をクリック→右の表/カードが絞られる設計。power bi 4 象限は“主従”を決めると迷わない。
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ツールチップ:象限名・X/Yの値・前年比など、1回のホバーで要点が見える構成に。
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凡例の言語化:色の意味とアクション(例:「橙=改善候補:価格見直し/販促強化を検討」)を明示。
10. 使いどころ(業務シナリオ集)
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営業:売上(X)×粗利率(Y)で取引先を四象限に分類。右上=重点維持、右下=単価改善、左上=開拓、左下=撤退検討。
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マーケ:接触数(X)×CVR(Y)で媒体評価。右上=拡大、左上=訴求ミスマッチ、右下=LP要改善。
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CS:利用回数(X)×満足度(Y)。右下は“ロイヤル化の壁”、左上は「潜在離脱層」。
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人事:スキルスコア(X)×パフォーマンス(Y)。育成/配置替えの優先度決定。
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品質:投入工数(X)×欠陥件数(Y)。右上は“注力すべき良品”、右下は改善効果が大きい領域。
power bi 4 象限は「何を増やし、どこを減らすか」を即断するための地図です。
11. よくある“つまずき”と対処
Q1. 点が重なって見づらい
A. 軸の範囲を見直し、外れ値をツールチップ用ページに退避。必要なら「上位N+その他」で点数を減らす。
Q2. ラベルがごちゃつく
A. ラベルを外れ値だけ、または選択時のみ表示。代わりにツールチップを充実させる。
Q3. 象限の色がスライサーで変わる
A. 条件付き書式を**メジャー(固定色)**で制御すれば一貫します。凡例ではなく“色ロジック”をDAXに持たせるのがコツ。
Q4. 平均で区切ると会議のたびに結果が変わる
A. 「平均」「中央値」「目標」の切り替えスイッチ(フィールドパラメーター)を作り、会議の目的に合わせて使い分ける。
Q5. 更新のたびに線の入力を忘れる
A. What‑if パラメーターのカードを線のそばに置き、値を目視で一致させる運用に。もしくはカスタムビジュアルで自動化。
12. 拡張テクニック(必要に応じて)
12-1. しきい値の切り替え(平均/中央値/目標)
しきい方式 = SELECTEDVALUE( Mode[Type], "平均" ) -- 独立テーブル:平均/中央値/目標
X 境界(切替) =
SWITCH(
[しきい方式],
"平均", [X 境界(平均)],
"中央値", MEDIANX( VALUES(Facts[ID]), [X メジャー] ),
"目標", [X 目標], -- 固定値メジャー
[X 境界(平均)]
)
Y側も同様に。象限(メジャー)
の xb/yb
を切替版に差し替えます。
こうすると、power bi 4 象限を“会議のテーマ”に合わせて動的に再計算できます。
12-2. 象限別の注釈テキスト
象限メモ =
VAR q = [象限(メジャー)]
RETURN
SWITCH(
q,
"第1象限(高×高)", "重点維持:成功要因を水平展開",
"第2象限(低×高)", "潜在成長:母集団拡大/導線強化",
"第3象限(低×低)", "撤退/改善:投資対効果を再評価",
"第4象限(高×低)", "効率改善:価格/コスト/体験の見直し"
)
カードに置けば、選択対象の“次アクション”が一目で伝わります。
13. レイアウト・サイズのおすすめ(見た目の話)
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キャンバス:16:9の 1600×900 を起点(会議室でも読みやすい)。
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余白:外周24px、ビジュアル間16px。
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色:power bi 4 象限の4色は固定し、その他はグレー基調。
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注記:「線の意味(平均/目標)」「色の意味」「対象期間」を小さく記載。
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相互作用:散布図=主役。サマリーと明細へフィルターを送る側に。
14. チェックリスト(コピペOK)
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X軸/Y軸のメジャーは定義済み(単位も明記)
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しきい値の方式(平均/中央値/目標/パラメーター)を決めた
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象限(メジャー)
と象限カラー
を作成し、色は条件付き書式で制御 -
散布図に定数線を引き、線の凡例と意味を注記
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サマリー(件数・割合・合計)と明細表を配置
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スライサーで期間・カテゴリを切り替え、象限の再計算を確認
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外れ値ラベル/ツールチップで“例外”を説明できる
-
会議時の運用(線の値更新/パラメーター入力)を決めた
-
カラーと文言の統一(社内用語・ブランドカラー)を行った
-
最終更新日時と対象範囲をページに表示
15. まとめ:四象限は“意思決定のショートカット”
power bi 4 象限は、たくさんの数字を**「増やす×減らす」の2軸で一気に整理し、優先度を可視化するためのショートカットです。
標準の散布図とDAXだけで、境界線の設計・色分け・サマリーまで実装できます。
まずは平均で区切る最短版を作り、会議で使いながら目標値/パラメーター**へ発展。
象限の色と注釈を固定すれば、誰が見ても同じ結論にたどり着けます。
次の案件で、この記事の手順をそのまま真似してみてください。
power bi 4 象限をダッシュボードの“最初の1枚”に置くだけで、会議のスピードと説得力が見違えます。
https://powerbiseminar.com/lp/
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