はじめに
「人数分ライセンスを買うのはちょっと高い…。Viewerを交代で使い回せないかな?」
Tableauを導入する前後に、必ずと言っていいほど出てくる疑問です。
結論から言うと、Tableau Viewerは“指名ユーザー”前提のライセンスなので、アカウントを複数人で共有したり、シフトごとに入れ替えて使うのはNG。ただし、退職や異動など、恒久的に利用者が入れ替わるケースでの再割り当てはOKです。
この記事では、「どこまでがダメで、どこからは許されるのか」という境界線をわかりやすく整理しつつ、現場でコストを抑えながら規約を守るための運用アイデアを紹介します。
1. まず結論:何がNGで、何がOKか
NG(使いまわし・共有)
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1つのViewerアカウントを複数人で共用
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シフトごとに同じアカウントを回す
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部署間でIDを貸し借りする
→ これらはすべて規約違反の可能性が高く、監査・セキュリティ・責任追跡の観点でもリスク大です。
OK(適正な再割り当て)
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退職や休職、異動などで利用者が恒久的に変わる場合に、別ユーザーへライセンスを付け替える
→ 管理画面やIdP連携を使って、ユーザーを無効化/新規追加するのは標準運用の範囲です。
💡 ポイント:一時的な「貸し借り」はNG、恒久的な「入れ替え」はOK。この線引きを理解しておくことが大切です。
2. なぜ“使いまわし”はダメなのか?
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契約上の問題:Viewerは「指名ユーザー」ライセンス。共有は前提外。
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セキュリティリスク:共用IDでは不正利用やなりすましを検知できず、MFAも機能しにくい。
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監査性の低下:誰がどのデータを見たか、ログで追えなくなる。
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サポート面の混乱:パスワードリセットや通知がどこに飛ぶか不明確になり、復旧が遅れる。
短期的には便利に見えても、長期的にはリスクが大きいのです。
3. 正しい“再割り当て”のやり方
基本の流れ
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退職・異動が決まったらユーザーを無効化し、ライセンスを回収
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新任者のアカウントをIdP(Azure AD/Oktaなど)経由で払い出し
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グループベースの権限を適用し、自動で必要なプロジェクトにアクセス付与
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必要に応じて購読やカスタムビューを引き継ぐ
おすすめの仕組み
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SCIMやJITでアカウント自動作成
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Group-Based License Assignmentで役割に応じて自動付与
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人事異動システムと連携し、異動と同時にTableau権限も自動更新
ただし、頻繁に入れ替えを自動化して「実質的な共有」状態にしてしまうのは避けましょう。監査時に説明がつきません。
4. シフト制や短期利用で困ったときの代替策
4-1. 壁面表示や共有端末を活用
フロアのモニターや会議室にダッシュボードを常時表示。個人がわざわざログインしなくても確認できます。
4-2. サブスクリプション(定期メール配信)
週次や月次のレポートをPDFや画像でメール配信。速報だけ見たい人はこれで十分。Viewerライセンスの節約に繋がります。
4-3. エクスポート配布
PNGやPDF、PPTX形式で出力して配布。毎回ログインするほどではない層に有効。
4-4. 埋め込み活用
社内ポータルに埋め込んでアクセスを簡略化。ただしCloudの場合は基本的に閲覧者にもライセンスが必要なので注意。
5. コストを抑えながら規約を守る運用術
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非アクティブユーザーを定期的に洗い出し、ライセンス回収
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必要ない人はExplorer/CreatorからViewerにダウングレード
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編集が不要な人はViewerに統一
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定期購読やエクスポートで「ログインしなくても済む」仕組みを作る
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契約更新前に席数を見直す
こうした工夫で、ライセンスコストを最適化できます。
6. よくあるNG運用とその代替
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「月初だけ3人で1IDを回す」 → それぞれViewerを割り当てる。どうしても難しければPDF配信で代替。
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「交代勤務だから共有アカウント」 → 壁面表示や定期配信に置き換え。
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「外部委託に一時的に使わせたい」 → 期限付きアカウントを発行し、終了後に回収。
7. まとめ
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使いまわし(共有・交代利用)はNG
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再割り当て(退職・異動に伴う恒久的な変更)はOK
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困ったときは「配布・購読・表示工夫」でライセンスを節約
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判断に迷ったら「個人に紐づけられるか」「監査ログで説明できるか」を基準にする
Viewerは「見る人専用の最安ライセンス」です。正しく運用すればコストを抑えつつ、安心して全社に展開できます。
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