Tableau Cloudは、サーバーレスでデータ可視化・分析ができるSaaS型のBIツールです。
クラウド環境で利用するからこそ、セキュリティの確保が非常に重要なポイントになります。
特に企業利用においては、次のような声が多いのではないでしょうか。
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「Tableau Cloudから社内データベースにどう安全に接続するのか?」
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「ファイアウォール設定のためにTableau CloudのIPアドレスを知りたい」
この課題を解決するのが、Tableau CloudのIPアドレス制御という仕組みです。
Tableau CloudのIPアドレスが必要な理由
✔️ 主な理由は「ファイアウォール設定」と「安全な接続」
企業のデータベースやサーバーは通常、インターネット経由の不正アクセスを防ぐためにファイアウォールで保護されています。
Tableau Cloudを利用して、企業内のデータベース(オンプレミスまたはクラウド)に接続する場合、
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「Tableau Cloudのアクセスを許可する」
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「それ以外の不正アクセスはブロックする」
という設定が必要になります。
✔️ よくあるケース
利用ケース | IPアドレス設定の必要性 |
---|---|
SnowflakeやBigQueryなどのクラウドDBに接続 | 必要(特にSnowflakeは推奨) |
社内オンプレミスのデータベースにTableau Cloudから接続 | 必須 |
Webデータ(Google Sheetsなど)への接続 | 不要 |
Salesforceとの接続 | 通常不要(ネイティブ接続) |
Tableau CloudのIPアドレス制御とは?
✔️ 概要
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Tableau Cloudが利用するアウトバウンド接続用のIPアドレスは、公式に公開されています。
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利用するリージョン(例:日本リージョン、アメリカ、EU)によってIPレンジが異なります。
✔️ 何に使われるのか?
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ファイアウォールの「許可リスト(ホワイトリスト)」に登録する
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オンプレミスのデータベースへのアクセス許可
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クラウドデータベース(SnowflakeやRedshift)のIP制御設定
→ Tableau Cloudがどこから通信してくるかを明示し、安全性を担保するための設定。
IPアドレスの最新情報の確認方法
✔️ Tableau公式ドキュメントの確認が基本
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Tableau公式の「IPアドレス範囲一覧ページ」で、常に最新の情報が公開されています。
👉 公式IPアドレスリスト(英語)
👉 Tableau Trustサイト
→ 定期的に変更があるため、必ず最新情報を確認することが推奨されます。
✔️ 地域別のIPアドレス
Tableau Cloudは複数のリージョン(地域)で運用されています。
リージョン | 用途 |
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日本(Tokyo) | 日本のユーザー向けの低遅延接続 |
アメリカ | 北米のユーザー向け |
ヨーロッパ | EU圏内のGDPR対応 |
アジア | アジア太平洋地域向け |
→ 契約時に選択したリージョンのIPアドレスを許可設定する必要があります。
【基本ステップ】IPアドレス設定の流れ
Step1|自社のネットワーク管理者に確認
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ファイアウォールの設定権限がある部署(情報システム部門)に連絡
Step2|必要なIPアドレス範囲を取得
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Tableau公式サイトから、使用中のリージョンのIPレンジを確認
→ 変更があった場合も迅速に反映できるように定期的に確認する
Step3|ファイアウォールに許可リストを設定
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Outbound(送信元)接続の場合 → Tableau CloudのIPを許可
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Inbound(受信)設定は基本的には不要(Tableau Cloudはクライアント側からの接続)
Step4|接続テストと検証
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Tableau Cloudからデータベースに接続
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エラーが出ないか、適切にデータが取得できるか確認
Tableau CloudのIPアドレス設定|活用事例
■ ケース①:オンプレミスのデータベースに安全に接続
ある製造業の企業では、長年社内のオンプレミスデータベースに営業、在庫、製造データを格納していました。
Tableau Cloudを導入したことで、社内データを可視化したいというニーズが生まれましたが、セキュリティ上、インターネットからのアクセスは基本的にブロックされています。
→ IPアドレス制御を活用し、Tableau CloudのIPレンジだけをファイアウォールで許可。
→ 社内データベースへの安全な接続が可能に。
■ ケース②:SnowflakeやBigQueryとのクラウド間接続
データをすべてクラウドに移行している企業の場合も、セキュリティのベストプラクティスとして、特定のIPアドレス以外からのアクセスは拒否する設定がよく使われます。
→ SnowflakeやBigQuery側でTableau CloudのIPレンジをホワイトリストに追加。
→ 第三者からの不正アクセスを防ぎつつ、Tableau Cloudからの安全な接続を実現。
■ ケース③:グローバルチームでの接続管理
多拠点にチームが存在するグローバル企業では、Tableau CloudのリージョンごとにIPアドレス制御を設定。
たとえば、日本チームは東京リージョン、アメリカチームはUSリージョンのIPを利用。
→ 地域ごとにファイアウォールを最適化し、パフォーマンスとセキュリティを両立。
よくあるトラブルとその解決策
✔️ 1. 接続エラーが発生する
原因の多くは「IPアドレスの設定漏れ」。
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✔ Tableau Cloudの最新のIPリストを正しくファイアウォールに反映しているか確認。
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✔ 契約リージョンが正しいかを再確認(日本リージョンのつもりがUSリージョンになっているケースもある)。
✔️ 2. 突然接続できなくなった
可能性が高いのはIPアドレスの更新。
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TableauはIPアドレスの範囲を定期的に見直している。
→ 必ず公式サイトで「IPレンジの更新通知」を確認。
→ Tableau Trustサイトでリアルタイムのステータスをチェック。
✔️ 3. 複数リージョンのIPを混在させて設定ミス
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必要のないリージョンのIPまで設定してしまうと、不必要にファイアウォールが開放され、セキュリティリスクに。
→ 契約リージョンのみのIPを設定することが原則。
✔️ 4. Tableau Bridgeとの併用エラー
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オンプレミスデータとTableau Cloudの接続にTableau Bridgeを使う場合、IPアドレスの設定以外にもBridgeの設定が必要。
→ Bridgeが正しく起動しているか、ファイアウォール設定にBridge用のポートが空いているか確認。
Tableau Cloud IPアドレス管理のベストプラクティス
■ ポイント1|最新情報の定期チェック
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TableauのIPレンジは変更される可能性がある。
→ 月に1回程度の確認が推奨。
■ ポイント2|ドキュメント化
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自社のネットワーク設定に関して、
→ **「どのIPをいつ、誰が、どう設定したか」**を必ず記録。 -
これが運用時のトラブルを防ぐ最大の鍵。
■ ポイント3|最小限のアクセス許可
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契約リージョンのIPアドレスのみ許可する。
→ これにより、セキュリティリスクが最小化される。
■ ポイント4|Bridgeの活用を検討する
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オンプレミスデータを頻繁に利用するなら、IP制御+Tableau Bridgeを組み合わせるのが最適。
→ データ更新の自動化とセキュアな接続が両立。
まとめ|Tableau CloudのIPアドレス管理は“安全なデータ活用”の基盤
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IPアドレス制御は、Tableau Cloudを安全に使うための必須設定。
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正確なIPアドレスの取得と、ファイアウォールへの適切な設定が鍵。
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クラウド間接続でもオンプレミス接続でも、この設定が安全性を大きく左右する。
Tableau Cloudは、強力なデータ可視化ツールであると同時に、セキュアなデータ分析基盤としても十分な性能を備えています。
その真価を発揮するためにも、IPアドレス制御はしっかり理解して運用することが非常に重要です。
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