今回は、Power BI Desktop のインストール方法と、初めて使う方向けに基本的な操作方法を解説します。Power BI Desktopはマイクロソフトが提供する無料のBI(ビジネスインテリジェンス)ツールで、データ可視化やレポート作成、分析を簡単に行うことができます。
1. Power BI Desktopとは?
- Microsoft Power BI:Microsoft社のBIプラットフォーム。クラウド版・オンプレミス版などさまざまな形態があり、企業のデータドリブン経営を支える強力なツール。
- Power BI Desktop:Power BIシリーズの中でも、主にWindows環境で動作する無料のデスクトップアプリケーションです。レポートやダッシュボードのデザイン、データの前処理(ETL)などを行い、作成したファイル(.pbix)をPower BI Service(クラウド)にパブリッシュして共有できます。
2. インストール前に確認すること
2.1 システム要件(2025年1月時点の目安)
- OS:Windows 10 または Windows 11
- メモリ:最低4GB以上(8GB以上推奨)
- ディスク空き容量:少なくとも2GB以上(インストールに加え、データセットを扱う分の余裕があると安心)
- インターネット接続:データの取得元やPower BI Serviceへの発行を行う場合は必須
2.2 Microsoftアカウント / Office 365アカウント
- Power BI Desktop自体はMicrosoftアカウントがなくてもインストールやオフラインでの利用が可能ですが、オンラインでレポートを共有する際はPower BI Serviceを利用するためのアカウント(Office 365 / Microsoft 365)が必要となります。
3. Power BI Desktopの入手方法
Power BI Desktopは以下のいずれかの方法で入手できます。
- Microsoft Storeからインストール
- Windows 10または11の「Microsoft Store」を開き、「Power BI Desktop」で検索→「入手」ボタンを押すと、最新バージョンが自動的にインストール・更新されます。
- Power BI公式サイトからダウンロード
- 公式ダウンロードページ へアクセス
- 「今すぐダウンロード」→「Power BI Desktop(64-bit 版)」などを選択
- ダウンロードした実行ファイル(.exe)を起動し、セットアップウィザードに沿ってインストール
Microsoft Store版はアップデートが自動で行われるので便利ですが、企業環境によっては公式サイトからのダウンロード版を利用することもあります。
4. インストールの手順
4.1 Microsoft Store版の場合
- Microsoft Storeを起動
- Windowsのタスクバーやスタートメニューから「Microsoft Store」を開きます。
- 検索欄に「Power BI Desktop」と入力
- 検索結果に「Microsoft Power BI Desktop」が表示されるので選択します。
- 「入手(またはインストール)」をクリック
- ダウンロードとインストールが自動で行われます。
- インストール完了後、スタートメニューから起動
- 「Power BI Desktop」が追加されているのでクリックして起動します。
4.2 公式サイト版の場合
- 公式サイトへアクセス
- セットアップファイルをダウンロード
- ページ内の「今すぐダウンロード」ボタンをクリック
- 必要に応じて言語、バージョン(64-bit / 32-bit)を選びます
- セットアップファイルを実行
- ダウンロードした
.exe
ファイルをダブルクリック
- ダウンロードした
- インストールウィザードに沿ってセットアップ
- 利用規約に同意 → インストール先フォルダの指定 → インストール開始
- インストール完了後、Power BI Desktopを起動
- スタートメニューなどから「Power BI Desktop」を起動します。
5. 初期設定と画面構成の理解
5.1 初期起動時の画面
Power BI Desktopを起動すると、下記のような画面またはウィンドウが表示されます。
- スタート画面(ホーム画面):新規レポートの作成や最近のレポート一覧、チュートリアルへのリンクが並びます。
- サインイン(必要に応じて):Power BI Serviceと連携する場合は、右上の「サインイン」ボタンからMicrosoft 365アカウントにログインできます。
5.2 主要な画面構成
起動後に表示されるPower BI Desktopの主画面は、大きく分けて以下の3つのビューがあります。
- レポートビュー(キャンバス)
- レポートのビジュアル(グラフ・表・カードなど)を配置・編集する画面。
- データビュー
- 取り込んだテーブルや列を一覧表示できる画面。DAX(式)を使った新しい計算列やメジャーの作成もここで可能。
- モデルビュー(リレーションシップビュー)
- 複数のテーブル間のリレーションシップ(関係)を視覚的に管理する画面。
画面左側のアイコンをクリックすることで、上記のビューを切り替えられます。
6. 基本的な使い方:データ取り込みからレポート作成まで
6.1 データ取り込み(Get Data)
- 「データの取得(Get Data)」ボタンをクリック
- ホームリボン上またはスタート画面にある「データの取得」をクリック。
- データソースの選択
- ExcelやCSV、SQL Server、SharePoint、その他クラウドサービス(Azure, Salesforce, Google Analyticsなど)多数のコネクタが選択可能。
- 読み込みまたはクエリの編集
- 「読み込み」を選ぶと即座にデータが取り込まれます。
- 「クエリの変換(Edit)」を選ぶと、Power Queryエディタが起動し、データのクリーニングや列のフィルタリング、結合などを事前に行えます。
6.2 データ整形(Power Queryエディタ)
- 列の削除や型の変更:不要な列を削除、数値列や日付列の正しい型に変換
- 結合や追加:複数のテーブルを結合、行を追加して単一のテーブルにまとめる
- 列の分割や条件列の作成:テキスト列を分割、条件に応じて新列を作るなどの操作
6.3 ビジュアルの作成
- キャンバス上でビジュアルを選択
- 右側の「ビジュアル化(VISUALIZATIONS)」ペインから、縦棒グラフ、円グラフ、マップ、テーブルなど好みのビジュアルをクリック
- フィールドを配置
- 右側の「フィールド(FIELDS)」ペインから、データ項目をドラッグ&ドロップして「軸」「値」「凡例」などに割り当てる
- オプション設定
- ビジュアルの色や形式、タイトルなど細かい設定を「形式(Format)」タブで調整
6.4 フィルター・スライサーの設定
- レポートレベルフィルター/ページレベルフィルター
- レポート全体、または特定のページだけに適用されるフィルターを設定
- ビジュアルレベルフィルター
- 特定のビジュアルだけに適用するフィルター
- スライサーの設置
- キャンバス上にスライサー(ドロップダウン・チェックボックスなど)を置いて、インタラクティブにデータを絞り込む
7. 作成したレポートの保存と共有
7.1 ローカル保存(.pbixファイル)
- 「ファイル > 保存/名前を付けて保存」 を選び、拡張子
.pbix
のレポートファイルとしてPC上に保存します。 - PBIXファイルをメールなどで配布し、受け取った相手がPower BI Desktopをインストールしていれば閲覧できます。
7.2 Power BI Serviceへの発行(Publish)
- クラウドで共有したい場合は、Power BI Desktop上部の「発行(Publish)」ボタンをクリックし、Power BI Serviceアカウントにサインインすると、Power BIのワークスペースへアップロードできます。
- ブラウザから閲覧、ダッシュボード化、他ユーザーとの共有が可能になります(共有機能の一部は有料のPower BI Proライセンスが必要)。
8. さらに便利な機能・活用ポイント
- DAX(Data Analysis Expressions)
- 計算列やメジャーを作成するための式言語。集計やフィルタリング、タイムインテリジェンス(前年同期比など)を容易に実現。
- ブックマーク機能
- 特定のビジュアル配置・フィルター状態を「ブックマーク」として保存し、スライドショーのようにプレゼンテーションに活用できる。
- カスタムビジュアル
- 市場やコミュニティが提供しているカスタムビジュアルをダウンロードして使えば、よりリッチなグラフ表現が可能。
- R/Pythonとの連携
- RやPythonのスクリプトをPower BI内で実行し、データ前処理や統計分析・機械学習を行うことも可能。
9. まとめ
Power BI Desktop は、無料ながら強力なデータ可視化・分析機能を備えたツールです。インストールと初期設定も比較的簡単で、Microsoft Storeや公式サイトからダウンロードできます。
- データを取り込み、前処理→ビジュアルの作成→レポート出力 という一連の流れが直感的に行える
- PBIXファイルとしてローカルに保存するだけでなく、Power BI Serviceへ「発行」して複数人とレポートを共有し、クラウド上でコラボレーションできる
まずは簡単なサンプルデータで試してみて、さまざまなビジュアルや機能に触れながら操作を習得していきましょう。Power BI Desktopを使いこなせば、データに基づいた意思決定や効率的なレポーティングが実現し、ビジネスの生産性を大きく高めることができます。
【もし困り事があるなら、まずは無料相談はこちら】
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